エキナカとは、限られた空間で、ワンランク上のものを売るビジネスである。だからこそ、コンセプトを決めて、それにあった店舗をJR東日本が自ら決めるのだ。こうして、こだわりの空間ができあがる。

 一方、セレブたちに受け入れられる紀ノ国屋は、ただ単に高い商品を売っているわけではない。高くても良い商品、他では手に入りにくい商品をそろえる。商品を美しく見せるなど、売り方にもこだわる。それが、こだわりの空間であるエキナカに求められる要素だ。

佐藤充氏が執筆した『鉄道業界のウラ話』(彩図社より)
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 今、上野駅をはじめとしたエキナカに紀ノ国屋が入り、三鷹駅でも、ベーカリー、フーズショップ、ワインバール&カフェと、バラエティーに富んだ紀ノ国屋ができている。

 紀ノ国屋であれば、少し高いが、何を買っても間違いないし、他にはないものが手に入る。これが、エキナカのステータスにもつながっている。JR東日本が紀ノ国屋を買収したのも、理にかなっていたわけだ。

 ちなみに、エキナカなどにある紀ノ国屋は、KINOKUNIYA entréeというブランドで、青山の店などとは区別される。entrée(アントレ)とは、フランス語で「入り口」という意味だ。

 たしかに、売り場スペースは限られるが、入りやすい。おかげさまで、最高級車で買い物をするセレブではなくても、紀ノ国屋を楽しめるようになった。

 クリスマスが近づくにつれて、「紀ノ国屋にでも行ってみようか」と、プチ贅沢をしたくなる。少し高いが、たまには紀ノ国屋もいいだろう。


文)佐藤充(さとう・みつる):大手鉄道会社の元社員。現在は、ビジネスマンとして鉄道を利用する立場である。鉄道ライターとして幅広く活動しており、著書に『鉄道業界のウラ話』『鉄道の裏面史』がある。また、自身のサイト『鉄道業界の舞台裏』も運営している。