山上り、山下りって?

 小田原中継所から往路のゴールである芦ノ湖(標高874m)まで一気に駆け上がる5区が“山上り”。'17年から最長区間ではなくなるが、ハードな区間であることは間違いない。

 反対に6区は“山下り”。標高差800m以上を猛スピードで駆け下りるので、脚には大きな負担がかかり恐怖心との戦いでもある。ときには、凍てついた路面で転倒する選手も……。

“山を制する者は箱根を制す”とも言われています。5、6区はほかに類を見ない特殊区間。“山のスペシャリスト”をいかに育てるかは各校の課題です」(碓井さん)

シード権って?

 翌年の箱根駅伝に出場できる“シード権”は、10位以内に入った大学に与えられる。シード権を得られなかった大学は、10月に開催される予選会へ。近年の参加は約50校! 上位10位以内に入れば出場権を得られる。ゆえに、シード権を失うと回り道になるうえ、熾烈な争いを覚悟しないといけないのだ。

10位と11位は雲泥の差。勝てば天国、負ければ地獄。シード権争いは、非常にハラハラしますね。第87回大会('11年)では、城西大がたった3秒差でシード権を失ったこともありましたね」(和田さん)

襷(たすき)って?

 たとえ脱水症状や低体温症になろうとも……。選手が意地でもつなぐのが、母校の襷。汗と思いが染み込んだ1本の襷を、次の走者に手渡す“襷リレー”によって、走者&区が変わる。どの出場校も“襷を全区間つなぐ”ことが最低目標で、そのうえで優勝やシード権を狙っている。

繰り上げスタートって?

 トップの選手が中継所を通過してから2区、3区は10分、それ以降は20分以上経過しても前走者が中継所に到着しないと“繰り上げスタート”になる。母校の襷ではなく、大会本部が用意した“白襷”で走る(※参照)のは屈辱だ。とはいえ、失格ではなくタイム差はきちんと計算される。

「繰り上げスタートのルールがなかった大昔は、何時間かかろうとも襷をつないでいました」(碓井さん)

(※)繰り上げスタートでも、5区と10区だけは自校の襷の使用が認められている

8区から9区の戸塚中継所の繰り上げスタート。襷をつながらなかった。
8区から9区の戸塚中継所の繰り上げスタート。襷をつながらなかった。
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時間差スタートって?

 往路でトップのチームがゴールしてから、10分以内にゴールできれば、翌日の復路(6区)はそのタイム差でスタートを切れる。が、10分以上遅れたチームは、トップのチームがスタートした10分後に一斉スタートとなる。

復路は見た目の順位と本来の順位が違ってくるので、ややこしいですね」(和田さん)