少なすぎる給食。冷凍保存した残りものが使われることもあった

「確認された違反は、(市を通さず)園との私的な契約を22人と結んでいたこと。架空の保育士を計上していたこと。保育士の人員配置の基準を満たしていなかったことです。給食は、約40人分しか発注せず、それを約70人で分け合っていました」

 栄養不足の危険、保育士の目が行き届かない危険があったことを知り、40代の女性は

「本当に事故がなくてよかったです」と胸をなでおろす。

 2月2日の定期監査の際、市の担当者は、給食の発注数が少ないのではと疑念を抱いた。本来なら定員46人分でなければいけない。

「書類を提出させ確認したが、園側の書類の数字と発注先の業者の数字が一致しなかった。従業員の欠勤控除が多いことから、特別監査に踏み切りました」(前出・市監査指導課)

 園の書類には、ほかにも偽造があった。

 入園のしおりは『監査用』と『一般入園者用』と『園契約者用』の3種類。本来、市民税に応じて決定する保育料も、『園契約者用』では園が勝手に金額を決めていた。

年間5000万円の交付金があるのに備品は保護者持ち

 さらに同園は本来、徴収の対象とならない児童からも、入園金1万円を取っていた。入園金は就労、親族の介護など保育を必要とする事由に該当せず、“満3歳以上の小学校就学前の子どもであり、学校教育のみを受ける子ども”から徴収することが可能だ。

「準備物も『監査用』の書類には記載がありませんが、実際には、ぞうきんやトイレットペーパー、ボックスティッシュなどを入園者側が用意するように記載がされています」(前出・市監査指導課)

 給食費をケチって、入園金を懐に入れ、備品を保護者に負担させ、室内は暖房も入れず電気代を浮かせるなど、浮かび上がるのはがめつい実態。

 しかも同園は、「認定こども園」として、国や県、市から年間約5000万円の運営費を交付されていたのだ。

“守銭奴女園長”の実態を知りながらも放置していたとして、問題発覚後の3月21日に行われた緊急保護者説明会の席で保育士は、「園長に訴えたが、聞き入れてもらえなかった」「園長が怖かった」と涙ながらに謝罪したという。

 保護者の相談に乗り、子どもを孫のように可愛がり、熱く幼児教育の大切さを説くなど、熱心な園長と保護者の目には映っていたが、それは表の顔。裏の顔は、保育士たちに劣悪な労働条件を押しつける、ブラック企業の経営者そのものだ。

 前出・市監査指導課は、

「遅刻や欠勤をすると給与から1万円の減額、祝日の関係で勤務日数が少ない月は日割り計算で減額、ボランティア勤務などもあったようです。保育士への聞き取り時に判明し、労基署へ報告しました」

 と、園長の悪徳経営者の顔を指摘する。