警視庁に110番通報があったのは19日午前5時56分のことだった。夏を思わせる暑い日が続いていた。

「姉が2階の部屋で白骨化しています!」

 現場は東京都台東区東上野の木造瓦葺き2階建て住居で、通報者はこの家に住む歯科医院勤務の次女(50)。異臭が気になって2階に上がったところ、布団の中に一部白骨化した姉・N子さん(55)が横たわっていた。捜査当局は身元の確認を急ぐとともに、死因などを調べている。

「頭がい骨と足の骨がむき出しになるほど腐敗は進んでいた。目立つ外傷がないことなどから事件性はないとみているようだ」と全国紙記者。

 一家は年長順に長男(59)、長女N子さん、次女の3人暮らし。両親は亡くなっている。

「長男と次女は4月ごろ異臭に気づき、“部屋を掃除しなくちゃいけないね”などと話していた。N子さんの姿を1年以上、見ていないと話しているといい、家から出て行ったと思っていた」(同記者)

近所では“騒音クレーマー”だった

 N子さんは騒音に敏感なクレーマーとして有名だった。

 近所の70代主婦は、

「路上で工事業者を大声で怒鳴りつけていました。“音がうるさい”とか“工事の話は聞いていない”とケンカ腰でパトカーが出動する騒ぎもあった」と目撃談を話す。

 近所の住民が見ててもおかまいなし。N子さんを幼少時からよく知る年配の女性がなだめようとすると、

「そういう問題じゃない」

 と腕組みして仁王立ちしたまま言い放ったという。

 若いお母さんに「子どもの泣き声がうるさい! 虐待してるんじゃないか」と突っかかったり、自宅そばの電柱に防犯カメラを設置する工事では、

「家の中を見張られるようで気分が悪い。許可なく工事するな」

 と一喝。あまりの剣幕に工事は一時、中断された。

「ところが、仕切り直しの防犯カメラ設置工事では何もクレームをつけなかった」(近所の50代女性)

 この2度目の工事は昨年末から今年初めにかけて行われたといい、すでにこのころ、N子さんは自室で亡くなっていた可能性がある。