
「最初に見せていただいたとき、藤棚の下を歩いているような感じになりました」
「とても美しく魅力的な作品ですね」
秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは9月4日、東京都中央区のデパートを訪れ、総裁を務める日本工芸会などが主催する「第72回日本伝統工芸展」を鑑賞した。
約550点の作品をじっくり見て回った佳子さま

総裁賞を受賞したガラス工芸作家のガラス製の重箱は、藤の花をイメージし、紫やピンクのガラスが幾重にも光を反射して輝く作品だ。作家から説明を受けた佳子さまは、冒頭のような素直な印象を語り、人形や陶芸など約550点の作品が並ぶ会場をじっくり見て回った。
佳子さまの弟、悠仁さまの19歳の誕生日にあたる9月6日、悠仁さまの成年式が行われた。成年式は男性皇族だけが行う重要な儀式で、奈良時代から約1300年もの歴史と伝統があるとされる。1985年11月30日、父の秋篠宮さまが行って以来、実に40年ぶりの成年式となった。
この日午前8時45分ごろ、東京・元赤坂の赤坂御用地にある秋篠宮邸で、モーニング姿の悠仁さまが天皇陛下から贈られた冠を受け取る、「冠を賜うの儀」が行われた。陛下の使いから箱に入った成年用の冠を受け取った悠仁さまは、「誠にありがとうございます」と述べた。この後、宮邸の玄関で佳子さまや両親と、笑顔で言葉を交わして車で皇居・宮殿に向かった。
午前10時前、悠仁さまは中心的な儀式の「加冠の儀」に臨むため、宮殿の「春秋の間」に入った。
裾の長さが6メートルもある、未成年用の装束「闕腋袍」を着て、頭には「空頂黒幘」と呼ばれる未成年用の黒絹の額当て、手には笏を持っていた。
天皇、皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻が見守り、両陛下の長女、愛子さまや佳子さまなどの皇族や石破茂首相ら三権の長も参列する中、悠仁さまの頭から宮内庁幹部が、黒絹の額当てを外し、成年用の燕尾纓がついた冠をかぶせた。
冠を固定するひもの「掛緒」をあごの下で結び、ひもの両端を和ばさみで「パチン」「パチン」と二度、切り落とした。静寂に包まれる中、和ばさみの音だけが鋭く響き渡る、まさに成年式のハイライトであった。
続いて悠仁さまは、両陛下の前に進み出て「本日は、成年式にあたり冠を賜り、誠にありがとうございました。天皇、皇后両陛下には、加冠の儀に御臨席を賜り、誠にありがとうございます」と、お礼の言葉を述べた。
次に、秋篠宮ご夫妻の前に進み、「本日は、成年式を挙げていただき、誠にありがとうございます。成年皇族としての自覚を持ち、その務めを果たしてまいりたいと存じます」と、お礼や決意の言葉を述べた。両親は立派に成長したわが子を前に、感無量の面持ちだった。
この後、成年の装束「縫腋袍」に着替えた悠仁さまは儀装馬車に乗り、皇室の祖先などをまつる宮中三殿に向かい、回廊をゆっくりと進んで拝礼した。