本は自分の分身であり、嫁がせる“娘”

 本は自分の分身で、みなさんのところへ嫁がせる娘と話す酒井さん。本書の楽しみ方を教えてくれた。

基本的には1日で一気に読んでほしいとは全然思っていなくて。読まなきゃいけない義務感みたいなものを持ってほしくないんです。

 だから“今日は1ページだけ”とか“今日はこの話だけ読もう”とか、気軽に読んでいただけたらいいなって思います。1冊読み通そうと思うとつらくなりますしね」

酒井若菜 撮影/吉岡竜紀
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 今後はどんなものを書いてみたいのか? その胸中を尋ねてみると……。

「ライトなエッセイになっていく感じはしてますね。年を重ねれば重ねるほど、ふざけられそうな気もするし。

 堅苦しい大人よりも、ちょっとふざけている人が書くエッセイのほうが、読んでて楽しいんですよ。私が大好きな向田さんにしても、阿川佐和子さんにしてもいい意味で軽さがありますよね

 年を重ねてあんまりまじめなことばかり書いてると、説教っぽくなってくるじゃないですか(笑)。それは避けたいな、って思ってるんです」

ライターは見た!著者の素顔

 本書収録の『ツララ』は「私はモネが好きだが、モネを好きな男性はいまいち好きになれない。勝手な言い分」という書き出し。その真意を聞いてみると……。「それは訂正したいです!

 モネを好きな男性って繊細というか、ピュアすぎて傷つけちゃいけない、と当時思ってたんですかね。配色が女性的だからかな……今はそんなこと思ってないです(笑)」

『うたかたのエッセイ集』
酒井若菜=著 
キノブックス 1512円(税込)
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(取材・文/成田全)