辛酸なめ子さん 撮影/山田智絵

 守護霊と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 例えば、ご先祖様だったり、前世の自分だったり、小さなおじさんだったり……。でも、もしそれがイルカだと誰かに言われたら、信じることができるだろうか? この小説『ヌルラン』(太田出版)は、漫画家・コラムニストとして活躍する辛酸なめ子さんが、ご自身の守護霊と出会ったことから生まれたものなのだそう。

タイトルは自身の守護霊の名前!

「6、7年ほど前にドルフィニスト(※イルカのスピリットと交流する人)のセッションを受けて、私自身にイルカの守護霊が憑(つ)いていることを知ったんです。シリウスの近くの星に住んでいるイルカで、その子の名前が『ヌルラン』というんです。その話をブログに書いていたら、小説にしませんか? というお話をいただきました」

 ということは、本書は実体験をベースにしたノンフィクション小説?

「いえ、ヌルランとのやりとりは自分の体験を参考にしている部分もありますが、これは小説です。レミというブロガーの女性が成長していく話です」

 辛酸さんが描く小説とあって、やっぱりその世界観はときに辛辣、ときにクスッと笑えるスパイスが盛り込まれている。作中には懐かしの佐村河内守さんの話や、ベッキーの不倫ネタなども登場する。週刊女性の読者なら誰もが記憶しているであろうネタだが、レミの感性(辛酸フィルター?)を通して語られると本当に独特で面白い

「これを書き始めてから完成するまでに3〜4年かかったので、そういった当時の時事ネタも出てくるんですよね」

 もちろん、そんなワイドショーネタばかりではない。辛酸さんが話すように物語の主人公はレミというブロガーだ。彼らのような“インフルエンサー”といわれる人々の中にも流行(はや)りがあり、レミはブログを主戦場とするブロガーで、少し前はパーティーガールとして華やかな世界に身を置いていた。それが、昨今のSNSブームに乗り遅れてしまい、インスタグラマーと呼ばれる新勢力にスポットライトを奪われてしまう。いまをときめく人気インスタグラマー・エレナへの嫉妬。人気ユーチューバー染谷へのすり寄り。女性誌副編集長・平沢さんの手のひら返し……などギョーカイ「あるある」的な話が随所にちりばめられ、そのリアリティーあふれるストーリーにどんどん引き込まれていく。