「警察が話を聞きに来たとき、“乗せてない”と言ったら“あなたが乗せたんです”って言うからさ、びっくりして。全部調べてあるんだろうね」

 と驚きを伝え、事件当日の菊池さんの様子を伝えた。

「無線で“〇時〇分の電車で着くお客さんが来ますから”と言われたので、ロータリーのタクシー乗り場から離れたところで待っていたんです。すると女の子がこっちにまっすぐ歩いてきてね。普通の女の子でしたよ。乗車したのは午後5時40分ごろです」

 タクシーの中で菊池さんはスマホをいじっていたようで、ミラー越しに映ったのは、菊池さんの頭頂部だけ。

「“そこのコンビニでいいです”って言われ降ろしました。日報を記入して周囲を見たときには、もう姿が見えなかった。どっちに行ったのか……」

 降車後、菊池さんは、約200メートル先の別のコンビニへ移動し、廣瀬容疑者と合流。自宅バレを防ぐためだったのか、目隠しをされ、車に乗った。そこから廣瀬容疑者が住む木造2階建てアパートまでは5分ほどの距離だ。

 合流地点のコンビニは、廣瀬容疑者が普段使いしていた店。女性店員が記憶していた。

特徴的な容姿だったので覚えています。お金のやりとりだけですが、独特な風貌や雰囲気からハードルの高い接客に感じました。週に何度か来ましたが、いつも買うのはタバコだけ。銘柄はほとんど“エコー”。駐車場に会社の名前入りの軽バンを止めてずっとスマホをいじっていました。コンビニのWi-Fiを使っていたんだと思います」

 廣瀬容疑者の自宅で何があったのか、まだ明らかになっていないが、廣瀬容疑者は菊池さんを帰そうと車に乗せ、土地勘のない場所で降ろし放置した。