もう一例。『みかづき』(NHK総合・毎週土曜夜9時)では、やり手の学習塾経営者を永作博美が演じている。猪突猛進タイプで、塾講師から塾経営者へと、手広くビジネスを展開した女性だ。

 国の教育方針を敵視し、かみつき、子供の教育に新風を吹き込もうと奮闘。自分の信念を貫き、周囲を巻き込んでいくわけだが、そんな永作に惚れこんだのが、小学校の用務員だった高橋一生だ。永作の野望にうっかり巻き込まれた形ではあるが、永作に深い愛情を抱いている。

 つまり、論破する女、意見を言う女が「モテない・敬遠される」のではない。モテないし、話もつまらないくせに論破されることを好まない、僻み根性の発達した男性がそう思いたいだけ。そんな刷り込みというか、呪いの言葉に女性たちも惑わされてはいけない。

 たぶん、「論破されたい」というか「はっきり意見を言ってほしい」男性も、実は多いのではないか。

 何を話しても反論せず、持論もなく、何も考えずにすべてにゆるく相づちを打たれても、虚しいだけではないか。そんな男性たちの声もすくい取ったようなヒロイン像。ゆるふわ・てへペロのドジっ娘が通じない世の中になりつつあるのは大歓迎だ。

真逆の指南でモヤモヤ

 ところが、だ。ゆるふわ・テヘペロテロリストの暗躍を苦々しく思う私としては、ここでアラートを鳴らしておかねばなるまい。そもそものコンセプトとタイトルが大炎上した『人生が楽しくなる幸せの法則』(読売テレビ・日本テレビ系・毎週木曜夜11時59分)と、『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系・毎週木曜夜9時)である。

『人生が楽しくなる幸せの法則』は、ちょうどいいブスを目指すというトンデモ指南で、3人の女性が羽を折られていく内容だ。なかでも高橋メアリージュンが不憫(ふびん)でならない。

 仕事をきっちりこなし、ミスや間違いはきっちり糾弾する。融通はきかないけれど、おかしいことはおかしいと声に出す、素晴らしい女性じゃないかと思っていたのだが、ちょうどいいブスの神様(山崎ケイ)はそこを直せという。

 つっけんどんな物言いは確かに空気を凍らせるが、メアリージュンはちょうどいいブスを目指さなくてもいいと思う。

 焦ったり困惑すると、武士のような言葉遣い(かたじけない、など)になるのも可愛いし、相手によって使い分ければいいだけのこと。仕事を押し付けてくる割に文句ばかり言う人には、毅然(きぜん)とした態度で挑む&拒むべきだし、長い目で見ればその人の成長にもつながるはず。なのに、メアリージュンにゆるふわ・テヘペロを強制するなんて言語道断。アラートである。