災害時の「流言」は必ず起きる

 震災が起きると、いまではSNSに情報を求めがちだが、停電にならないことが大前提。昨年の北海道胆振東部地震では全道停電となり、ネットでのコミュニケーションも難しくなった。

 災害が発生すると、真偽不明の情報が一時的に飛び交う。今年2月21日、北海道胆振地方で震度6弱の地震が発生。気象庁は前年の余震と発表した。

「デマ認定」された鳩山元首相のツイート。本人は否定しているが……
「デマ認定」された鳩山元首相のツイート。本人は否定しているが……
【写真】物議を醸した鳩山元首相の「デマ認定」ツイートはこちら

 そんな中、鳩山由紀夫元首相がツイッターで《苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものではないか》《本来地震に殆ど見舞われなかった地域だけに、CCSによる人災と呼ばざるを得ない》とツイート。これを北海道警が“流言飛語”と判断、注意を呼びかける事態に。

 東京大学大学院・情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也准教授は、「災害時の流言は江戸時代から確認されており、絶対に起きるもの。止めようがありません」と話す。

 その内容は災害に関するデマや余震に関するもの、性犯罪被害の増加、外国人の窃盗団といった内容がパターン化している。

「大きな災害だと、家を離れ避難所生活をしますが、そのときに不安が増します。知りたい情報量が与えられている情報を上回ると、それを埋める形で流言が飛び交うのです。信憑性を高めるために“知り合いから聞いた”“ラジオやテレビで言っていた”などの言葉が付け加えられたりする。しかし、災害時に発生するデマのパターンを知っておけば、間違いだと気づくことができます」(関谷准教授)

(取材・文/渋井哲也)


《PROFILE》
しぶい・てつや ◎ジャーナリスト。長野日報を経てフリー。東日本大震災以後、被災地で継続して取材を重ねている。『命を救えなかった―釜石・鵜住居防災センターの悲劇』(第三書館)ほか著書多数。