被害者が通った市議会は駅前ビル内にある
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 前述した地元の支援者への顔見せ直後、何があったのか。

「ちょうど昨年3月、現職の渡辺芳邦市長が無投票再選を決めている。哲久氏が3度目の市長選挑戦を画策し、約半年前から祥一容疑者を後継市議に育てようとした可能性はある」(前出の記者)

 3度目の出馬はなかった。前回市長選では約1900票差の接戦に持ち込んだものの、「市長候補としては2連敗でアウト」(同記者)の見方が強く、再挑戦しても支持基盤の拡大は望めなかったという。

「立候補するには市議を辞職しなければならないが、結果的に立候補しなかったので市議を辞める必要はなくなったのではないか」と同記者。

人望はなかった

 さらに、こんな噂も……。

翌4月に副市長が『一身上の都合』で突然辞任し、約3か月間、副市長職を欠く緊急事態になった。哲久市議は、せめて副市長に……と人事権を持つ渡辺市長に頼み込んだが断られたという話。'14年の市長選では、渡辺市長をホメ殺しする県外ナンバーの街宣車が走り回るなど木更津市で初めてネガティブキャンペーンが展開されたので、対立候補だった石川陣営を怪しむ声が大きかった」

 と地元経済界の関係者。

 噂だけでははっきりしないので、渡辺市長に副市長打診があったかと聞いた。

「市長によれば、哲久市議からそのような要請はなかったし、断ったという事実もありません」(市長秘書)

 だが、ある市議はこう話す。

「市長は亡くなった人の悪口は言わない。でも、裏でそうした画策はあった。街宣車を使って貶めようとした相手に今度は取り入ろうとするなんて、政治的な信念も何もなく、自分本位すぎる。死者にムチを打つようで気が引けるが、議会でも人望はなかった」

 一方、祥一容疑者が後継候補のハシゴをはずされたことに関しては、「妻へのDVがあって別居し、離婚協議中だった」とする報道もある。

 事件当夜、哲久市議とその妻、義理の娘と祥一容疑者の4人で外食をともにしていたとする情報もあり、食事中に祥一容疑者だけ退席したという。

 身内が身内を殺めた事件にもかかわらず、哲久市議の通夜・告別式は密葬ではなかった。地元住民は「誰か別の人が“弔い合戦”として後継候補に立つのではないか」などと興味津々。市議選の告示は4月14日に迫っている。

(フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班)


やまさき・のぶあき 1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、'94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物虐待などさまざまな分野で執筆している