ネット社会になるにしたがって、視聴者の意識にも影響が。

SNSの普及で視聴者に広がっているのは“損したくない症候群”。話題になっているものであれば見たい、評判を聞く前に見てつまらなかったら損。そんなふうに考えるようになっています。レストランの評判を検索してから訪れるのと同じです」(碓井教授)

恋愛ドラマは規格外の設定が人気

 ドラマ選びにもコスト意識が反映されるように。損したくないという心情は、予定調和を求める気持ちにつながりやすい。だが、意外なことに恋愛ドラマは例外! 規格外の設定がウケていると吉田さんは言う。

「『逃げるは恥だが役に立つ』('16年)の契約結婚など、トリッキーなものが出てきました。“結婚のスタイルを女が選ぶ”が受けるのでしょう。食傷ぎみだった不倫ドラマですが、『あなたのことはそれほど』('17年)の不倫に罪悪感がまったくないヒロインというのは新しかったですね。

 でも、平成の最後に恋愛ドラマが行きついたのは『おっさんずラブ』('18年)。純愛で社内恋愛。ただ男同士。もはや、恋愛ドラマに女性は不要なのかもしれません……」


影山貴彦教授 ◎同志社女子大学メディア創造学科教授。毎日放送のプロデューサーを経て、現職。専門はメディアエンターテインメント論

吉田潮さん ◎ライター、イラストレーター、テレビ批評家。主要番組はほぼ網羅している。『週刊女性PRIME』で『オンナアラート』を連載中

碓井広義教授 ◎上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。テレビマンユニオンに20年以上在籍。近著に倉本聰との共著『ドラマへの遺言』(新潮新書)

田幸和歌子さん ◎テレビドラマに詳しいフリーライター。特にNHKの朝ドラへの造詣が深い。月刊誌、週刊誌、夕刊紙などで幅広く執筆している