アメリカ文化を吸収し、成長した17歳ごろの津田(津田塾大学提供)
アメリカ文化を吸収し、成長した17歳ごろの津田(津田塾大学提供)
【写真】2色3層構造に変更される500円玉の新デザイン、17歳の津田梅子

 千円札の肖像、北里柴三郎はドイツで細菌学の第一人者コッホに師事。1889年に破傷風菌の純粋培養に成功し翌年、破傷風菌毒素に対する血清療法を確立した。

 同大学2年の男子学生は、

「北里大学と言ってもピンときてもらえずでしたが、これからは千円札を見せればいいので説明しやすくなりましたね。北里学祖に感謝です」

忘れないで、2千円札の存在

 刷新の対象にならなかった2千円札。全国でいちばん使われているのは沖縄県だ。

 2千円札と紙幣刷新について取材した沖縄タイムスの與那覇里子記者は、

「沖縄では全国の発行枚数の6・5%にあたる637万枚が流通しています。この比率は全国でいちばん多い数字です」

 どのように使われているのか。那覇市在住の30代男性は、

「親戚の多い沖縄ではお年玉で使うことが多いです。飲み会の割り勘で使ったり。今も財布に入っています(笑)」

 と日常的に使われている。

 沖縄県民のお札への思いは他県と違うものがあるという。

「沖縄県民は沖縄が描かれたお金を大切にしています。それは戦後、沖縄がアメリカの占領下にあり復帰まではドルを使っていたことにあります。復帰を願ってきた沖縄の人にとって日本のお金に沖縄が描かれることはとてもうれしいことでした。2千円札、沖縄に来た記念でお土産にするのもいいし、もっと広まってほしい」(前出・與那覇記者)

 明治時代以降に製造され、過去に使用されていた旧紙幣の中には今でも使えるものがある。日本銀行の担当者は、

「現在使用できる紙幣は製造を中止した18種類を含め22種類。いずれも日本銀行の窓口で現在のお金と交換できます。それ以外の紙幣は使用も交換もできません」

 ただし1円札は1円、百円札は100円、と額面どおり。コンビニなどでも使える。

 刷新後、現在のお札の価値は上がるのだろうか。

「現在使用できる紙幣の多くは流通枚数が多いため、特別な条件がない限り、価値が上がることはありません」

 と話すのは古銭や古紙幣などの買い取りを行う「おたからや」(本社・神奈川県)の谷光晃さん。

 例外的に価値が上がる条件は2つ。お札の記番号がゾロ目。もしくは1から連続して並んでいるなど珍しいものだ。

「理由は流通枚数が少ないからです」(前出・谷さん)