例えば、日韓併合前後に大韓帝国で使用されていた渋沢栄一肖像の紙幣だ。製造時期が短く、現存数が少ないため、紙幣コレクターの間でプレミアがつき始めている。

 前出・谷さんは、

「1円札は2万~3万円、10円札は3万~15万円の範囲で取引されることが考えられます」

高倉健や美空ひばりの可能性

 お札の肖像の人物はどのように決まるのだろう。

「明治以降の文化人の中から選定する、という前2回の改刷時の考え方を踏襲しています。国民に広く知られ、業績も認められているなじみの人物を多方面からピックアップし、今回の3人に絞りました」

 と財務省の担当者は明かす。

 ほかにも精密な写真があるかや品格など、お札にふさわしい基準が挙げられるという。

「かつては偽造防止の観点から“ひげがあったらいい”と考えられていました」(同前)

 実は1万円札の渋沢栄一、「ひげ」には苦い思い出が。1963年、千円札刷新で候補となった渋沢はひげがないため伊藤博文に負けたといわれている。ひげの部分が複雑なデザインにできるため偽造しにくいのだが、現在は技術の進歩からその基準はない。

 国民の多くが知っている往年のスターやキャラクターは紙幣にならないのか。前出の担当者は、

「高倉健さんや美空ひばりさんら昭和に活躍された方は亡くなってから期間も短く、評価が定まっていませんので現在は難しい。今後はその可能性もあるかもしれません」

 ただ、お札はデザインではなく、偽造されないよう発行するため簡単に描けるキャラクターは難しいという。

 新紙幣はユニバーサルデザインを取り入れたことも特徴。

 数字が小さく外国人や視覚障がい者からわかりにくいと言われていたが、数字を大きく描き誰でも見やすくした。

 色覚障がい者でも見やすい色使いにし、触るとすぐわかる工夫もしているそうだ。