以来、通行量に減少の兆しが現れ、さらに追い打ちをかけるように瀬戸大橋の開通があった。それまで四国には大手ショッピングセンターの進出はほとんどなかったが、瀬戸大橋開通によって物流が安定し、大手資本が一気になだれ込んだのだ。

ドームでは年間250本を超えるイベントが。コンサート、結婚式が行われたことも
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 古川さんたちは、理事長の指示を受けて、全国で調査を開始していく。

「失敗した再開発を見てこいと言われて、僕たちが目の当たりにしたのは、郊外店が勢いを増すなか、かつての栄光が忘れられない店主たちが切迫感のないまま自ら滅んでいく姿でした」

失敗には法則があると気づいた

 各地の商店街では開発デベロッパーに丸投げする、大型店を誘致したものの業績低迷から撤退されるという失敗を繰り返していた。

 そんななか、トドメを刺すように起こったのが'91年からのバブル崩壊。丸亀でも土地を持っていた商店街の店主たちは、銀行に踊らされるままに土地を担保に不動産を買いあさり、バブルがはじけると、その価値は暴落、とんでもない借金を背負う店主が続出した。

ただ、あとから考えると、これは好機でもありました。借金を抱え戦闘能力を失い、後継者もない店主の借金を清算してあげる廃業支援を行えた。つまり、街をいったん白紙にできたんですね。その店主たちを動かしたのは、おかみさんたちでした。彼女たちはドライでシビアな財務の専門家ですからね(笑)」

 古川さんたちがとったのは、定期借地を用いて商店街をまるごと新しくしようという方法だった。

商店街で働くお母さんの味方「壱番街ドーム保育園」も完備。最大60名まで預かれるそう

「土地を買い上げるのではなく、土地の権利はそのまま店主たちに残し、60年の条件で借り受ける。その上に新しい施設を建て、地権者である店主たちと施設を運営する会社を共同出資で設立しました」

 おもしろいことに、丸亀町商店街の発展によって、30〜40%のシャッター店を抱えていた隣接する商店街もシャッター店が解消したというのだ。

奇跡、奇跡と言われるけれど、私たちは失敗には法則があることに気づいただけ。そして、町から信任を受けた私たちが街づくりの専門家チームを編成して計画を作ってきた。最近では“奇跡だなんて言ってられない”と、本気で商店街の立て直しに取り組む町も出てきました。

 行政は総花の計画しか作れない。“民”が立ち上がらない限り、“官”は支えられないことに早く気づいたほうがいいでしょうね」