若手から大御所までバラエティーに富んだ顔ぶれ。出演者同士が絡み、ときには観客を巻き込んだ演出をしている。そしてNHKホールでの公開生放送。このように見ると“あの番組”との共通点が多い。再びテレビ誌の記者が言う。

「紅白歌合戦ですね。番組のにぎやかな雰囲気と、公開生放送の緊張感。放送時間は46分なので“プチ紅白”といった雰囲気で仕上がっています。それに、大阪など地方からの放送回もありますが、基本的には紅白と同じNHKホールからというのも、ひと役買っていると思います。毎週、紅白的な空気感が味わえると思うと、お得な歌番組です(笑)」(前出テレビ誌記者)

 その“お得感”が功を奏しているのか、同番組の視聴率は好調、10%を突破することも珍しくない。

『Mステ』との違い

「テレビ界全体の視聴率の低下、さらに音楽番組の需要が低くなっている中、安定した視聴率が見込めるのはなかなか強い。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)を抜き、視聴率トップの音楽番組へと成長しました」(前出・テレビ関係者)

 視聴率が安定する理由のひとつは、やはり演歌・歌謡曲系の歌手の出演によるところが大きいという。

「地上波のテレビをよく見る、高年齢層の支持が厚いことが何より大きいですね。これは中高年をターゲットにしたドラマ作りが強い、テレ朝の手法と似た構図です。また、演歌勢の大御所がこぞって出演するところが『Mステ』との大きな違いですね。

 中高年層が見て楽しいと感じる番組作りをすることで、テレビの視聴率が低空飛行する中、固定客がしっかりとついてきた。そこに、ジャニーズや坂道ファンの若い視聴者も見てくれるようになり、新しいものが生まれ、親しみやすい番組になっています。“火曜の夜8時はうたコン”という、習慣も根づいてきたのではないでしょうか」(同)

 好調の波に乗り、思わぬ大物のサプライズ出演など、ますます『紅白』化が進んでいったりするかもしれない。

<取材・文/渋谷恭太郎>