滞在中には、こんなことも。

「希林さんは、わざわざ東京から自分の家にあった賞味期限が切れそうな食べ物を持ってきているんです。もったいないから、2人で食べちゃおって。私が“食べられれば何でもいいってもんじゃないよ!”と言ったら、“はいはい、そうだね”って笑っていましたけど」

老いていくことを楽しみなさい

 最後までモノを活かす──。希林さんが浅田に再三、伝えた教えでもあった。

「うちの母が亡くなったとき着物の整理ができなくて、希林さんに手伝ってもらったんです。それで、いらないものは着物屋さんにお渡しして、お稽古とかで使ってくださいと。

 振り袖はフジカラーのCMで希林さんが演じる“綾小路さゆり”で着てくれて。眠っていた着物を生き返らせてくれてうれしかったですね」

 “老いに抗わないこと”も、希林さんからの教えのひとつ。

老いていくことを楽しみなさいと言われました。ここにシワができて嫌だぁとか思わないで、いいシワじゃないと考える。そんなの逆らってもしょうがないって

 いつまでも若く見られていたい──。そんな浅田が心にまとっていた鎧はボロボロと崩れていった。

「希林さんは“私が出ると映画の格が上がるのよ”って言ってました(笑)」と語る浅田 撮影/矢島 泰輔
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「“おばあちゃんの役が全部、私に来るんだよ。なぜだと思う? ほかの女優さんはキレイすぎるからよ”って。すごい考え方だなと思いました。私も、ありのままの自分でいいんだって」

『エリカ38』で浅田は、実年齢を20歳以上詐称し、何億円ものお金を搾取した女を生々しく演じ、初めて大胆なベッドシーンにもチャレンジ。今まで彼女が持っていた“やさしく愛らしい女性”というイメージを打破している。

「映画はフィクションでも、実際に起きた事件が人の記憶にあるうちに公開したほうがいいと希林さんに言われて、撮影時期を早めたんです。

 でも、いま考えてみると、自分の死期みたいなものがわかっていたのかな……。

 だから粗編集した映像を見てくれることはできたんです。見たあとに、“下手くそ”って笑いながら言われましたけど(笑)」

 こんな憎まれ口をたたけるのも2人の親密さの証。希林さんとの最後の思いを胸に、浅田が演技派女優としての第一歩を踏み出した。

●あさだ みよこ●1956年、東京都生まれ。’73年にドラマ『時間ですよ』でデビュー。挿入歌『赤い風船』が大ヒットする。『釣りバカ日誌』シリーズをはじめとする映画、ドラマ、舞台で幅広く活躍。また動物愛護・福祉のためのチャリティー団体『Tier Love《My Best Friend》実行委員会』の代表を務める。

最新主演映画『エリカ38』は6月7日より全国公開