働く女性の悩みに寄り添う新商品

 ミルクに加え、ビターを'17年秋に発売したころ、前担当者から犀川さんにバトンが渡される。

「毎年、右肩上がりの成長を続ける『LIBERA』の今後はどうあるべきか? イチゴなどのフレーバー展開は可能ですが、それではブランドとしての広がりに限界がある。スーパー以上にコンビニで売れる『LIBERA』は、働く女性から特に支持されています。なので、チョコのできる範囲で、彼女たちのほかの悩みに対応できないかと考えました」

新発売のアイサポート(左)とあったかケア。現在『LIBERA』は全4種類。各40g、150円
新発売のアイサポート(左)とあったかケア。現在『LIBERA』は全4種類。各40g、150円
【写真】遠山さんの宝塚時代の秘蔵ショットと笑顔がさわやかな犀川さん

 調査をすると、有職女性の約7割が目の疲れを感じ、3人に1人が身体の冷えを感じていた。これだ!

「“アイサポート”と“あったかケア”の完成には1年半がかかりました。機能のために、味が犠牲になることは絶対に避けたかったんです」

 アイサポートには、目のピント機能の調整を助けるアスタキサンチン入り。試作段階ではイクラのような生臭さがなかなか消えない苦労も。あったかケアには、手足の末梢血流を整えるモノグルコシルヘスペリジンを入れ今春、2つを同時発売した。

「多くの女性から“こんな商品が欲しかった”とのお声をいただいています」

 最近の菓子業界は、“大きなブランドを、より大きく”がトレンド。ヒットブランドを冠したシリーズ展開が目立つ一方、新ブランドはなかなか育ちにくい。

「私は生みの親ではありませんが、育ての親。『LIBERA』が一発屋ではなく、より強く、より愛されるブランドになるよう、さらなる展開を考えていきたいと思っています」

 発売元の江崎グリコは、創業者・江崎利一氏が牡蠣に含まれるグリコーゲンを子どもたちの健康づくりに生かしたいと考え、キャラメルに入れた『グリコ』から始まっている。菓子で健康を実現する─。SNSで“映え”るわけではないかもしれないが、『LIBERA』には熱き創業精神が詰まっている。

※価格は注記がない限り、すべて税抜き


《PROFILE》

赤城フーズ 遠山昌子社長 ◎'79年生まれ。'98年、宝塚音楽学校入学(第86期生)。'00年、宝塚歌劇団入団。'05年に退団、赤城フーズ入社。'18年より代表取締役社長

江崎グリコ 犀川有彩さん ◎チョコレートマーケティング部所属。入社3年目。「仕事でもプライベートでも、チョコを食べない日はまずありません」