東京都の梅毒男女別患者報告数(東京都感染症情報センター調べ)
東京都の梅毒男女別患者報告数(東京都感染症情報センター調べ)
【グラフ】東京都の梅毒男女別患者報告数、近年の増加率に驚き!

 梅毒が発症した場合、しこりから発疹といった症状の段階であれば、泌尿器科や皮膚科で治療することができる。ペニシリンを打つだけで寛解するのだ。

“ピンポン感染”を防いで

「たしかに梅毒は急増していますが、性感染症が増えているというわけではありません。そのほかの淋病、性器クラミジア感染症などは減少傾向にあります」

 その意外な理由とは、

「単純にセックスをする人が減っているからです。人口のボリュームゾーンの高齢化が進むとともに、セックスをする人も減少しているのです」

 だからといって対策に対して無知であることはいただけない。

「性感染症は自覚症状に乏しいものが多い。そのため知らない間にパートナーにうつしてしまうことも。一方が治しても、またパートナーからうつされる……卓球のラリーに倣って“ピンポン感染”と呼ばれるケースに発展することも珍しくありません。お互いにケアしていく必要がある」

 そして、こういった心がけは性感染症に限った話ではないと強調する。

「子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症するのですが、HPVは性交渉によって男性からうつされます。欧米の国では男性にもHPVワクチンの接種を推奨しています。しかし日本では、厚労省が認可していないため男性が打つことはない」

 また、HPVの中には性感染症を引き起こすタイプもある。性器や肛門周辺にイボができる尖圭コンジローマがそれだ。

「性行為によって発症する感染症を未然に防ぐには、男女ともに正しい知識と理解を持つことです。当たり前のことですが、いちばん大事なパートナーを守るため予防や早期診断を怠らないようにしてください」


《PROFILE》
小堀善友さん ◎獨協医科大学埼玉医療センター リプロダクションセンター准教授。泌尿器科医、医学博士。男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症を専門とする