男女別の離婚理由(平成29年度司法統計データ「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」より)
男女別の離婚理由(平成29年度司法統計データ「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」より)
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 男女ともに上位に入る精神的虐待はいわゆるモラハラ。怒鳴る、物にあたる、呼びかけの無視、不機嫌な態度などさまざまだ。また、暴力をふるうというのは、精神的虐待も受けている状態だと考えるのが妥当だと岡野さんは語る。

「男性側の“同居に応じない”は、夫の両親との同居を拒むケースもありますが、母子密着の顕著なケースも。自分の実家にいりびたりがちな妻に多く、里帰り出産して、そのまま実家を離れないことも。また、子どもの学校や受験などを理由に夫の転勤に帯同しない30代、40代の妻も多いようです」

 そのほか、産後クライシスと呼ばれる、出産前後の夫の態度も大きなポイント。後々まで結婚生活に影響することも。

「妻が出産で大変なときに浮気をしたなどはもってのほかですが、手伝ってくれない、気遣ってくれないという妻の憤りは恨みに変わることも。熟年離婚の根源は産後の夫の態度・行動にあり、それを長年、恨みとして持ち続けていたという話もよく聞きます」

 離婚カウンセラーとして日々多くの相談者の話を聞く岡野さんだが“離婚はしないに越したことはない”という姿勢をとる。法律では解決できない夫婦の気持ちの誤解を解き、修復すると、元の鞘に収まるケースも多いと語る。

「度重なるDVや家計を維持できないほどの膨大な借金など、明らかに離婚という解決策しかない事案以外は、まずは離婚以外の策をすすめます。実際の割合でいうと相談者の約3分の2が後者です」

 最後に、ただでさえストレスフルな離婚を少しでも円満に進めるコツを聞いてみた。

「まずは結婚生活を否定から入らないこと。夫婦でともに過ごした時間でよかったこと、嫌だったこと、受け入れられなかったことなどを冷静に話し合うことが大切。慰謝料などのお金については、法律の範囲を超える要求は関係を悪化させるので欲張りすぎはダメ。いろいろと思うところはあるでしょうが、相手を誹謗中傷しないことも円満離婚に導くための重要なポイントでしょう。

 結婚生活を続けるにしろ、終わらせるにしろ、踏みにじられてくしゃくしゃになった心に向き合った経験こそが、再びよみがえるときに、人間を強く、器を大きくしてくれます。このことを忘れずに、すべての女性に本当の幸せをつかみとってもらいたいと思います」


《PROFILE》
岡野あつこさん ◎離婚カウンセラー・夫婦問題研究家。自らの離婚経験を活かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。現在「離婚カウンセラー養成スクール」を開校し後進の育成にも取り組む。

佐々木博之さん 芸能ジャーナリスト。宮城県仙台市出身、中央大学理工学部卒業。元フライデー記者、芸能レポーター。現在も週刊誌などで取材活動を続けておりテレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。