赤ちゃんが食べられるタオル

 素材のこだわりは冒頭で触れたとおりだが、染色も重金属を含まない反応染料を使用しており、その廃水はバクテリアを使って長時間かけて浄化。ちなみに瀬戸内海の排水基準は世界一厳しいとされている。

 創業60周年を迎えた2013年、リブランディングによって池内タオルから現在の社名になったIKEUCHI ORGANICは、「赤ちゃんが口に入れても安全なタオル」という前代未聞のコンセプトを打ち出す。しかも、2015年には食品工場に認められる国際規格のISO22000まで取得してしまったのだから、有言実行ここに極まれりだ。

「ブランディングをお願いしたのはナガオカケンメイさん。唯一“池内ははずしてくれ”とお願いしたにもかかわらず、出てきたのはIKEUCHI ORGANIC(笑)。でも、ナガオカさんが言うには、“池内のオーガニックは世のオーガニックと違う『池内式オーガニック』であって、池内計司のオーガニックという意味ではない”と。5年たって、ようやく深い意味が理解できるようになり、この名前もしっくりくるようになりました」

 社名に「オーガニック」と入ったことで、目指すべき方向がはっきりし、レギュラーコットンの扱いをやめる決心もついた。さらには、「赤ちゃんが食べられるタオル」を次なる60年の安全性基準の指針として、創業120周年にあたる2073年に新たなISOの取得を目指すという。今年発売の新商品より、綿畑まで追えるようQRコードをつけたのもその一環だ。

「ORGANIC120BABY」のベビービブを持って
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「食べ物としてのタオルというのは、僕というよりお客さんのアイデア。安全に対する要求レベルが上がっているのを肌で感じていたので、だったらこのぐらいのことはしないとなという感じ」

 前出の渡邉さんは語る。

「池内には売れるものを作ってやろうという考えがなく、自分が欲しいもの、お客様が欲しいと思っているものだけを馬鹿正直に考えているんです。『オーガニックエアー』という商品などは、軽さを出すため薄い生地を使っていて、糸も汗があたるだけで切れてしまうほど細いものを使っているんですね。

 そのため、仕様を変更してもらえませんか? とお願いすると、“お客さんはこれを求めているし、誰もやらないことをやるから価値があるんだよ~。糸が切れるなら夏は生産せず、年間の販売計画を立てて冬場に年間分を生産してよ~”と、くるっと丸められてしまうんです

 そうしてできあがったタオルのいい評判が耳に届くと、社員に言わずにおれないのだと渡邉さんは続ける。

「謙遜しない人なので、お褒めの言葉をいただくと100%そのまま受け取って、うちの会社はこんなにすごいんだよと、こちらが恥ずかしくなるぐらい自社を褒めちぎるんです」