ジュニアアイドル(通称:チャイドル)ブームの先駆けとなり、ティーンエージャーの少女たちに大きな影響を与えた野村佑香さん。芸歴はすでに32年! そんな彼女が振り返る、ブレイクのときは―。

チャイドルと子役は違う

「“あいさつはキチンと丁寧に言いなさい”と、耳にタコができるくらい母からは言われていました」

 と、昔を懐かしむように話し始めたのは野村佑香。ドラマ『木曜の怪談』シリーズに出演するなど、かつて“チャイドル”と呼ばれたジュニアアイドルブームの中心にいたスーパーキッズのひとりだ。

「3歳のとき、母がキッズモデルに応募したことがきっかけでした。その後、『アニー』を見て、“自分も演じてみたい!”と思い、お芝居のオーディションも受けることができる事務所に移籍しました。そこで『木曜の怪談』のチャンスに恵まれたんです」

 当時、ジャニーズJr.だった滝沢秀明や今井翼とともに、野村や、現在は六代目中村勘九郎の妻である前田愛さんらが出演した同ドラマは話題を集め、野村たちは“チャイドル”としてブレイクする。ドラマだけではなく、バラエティー番組への出演や歌手としても活躍する新しい子役像の誕生……そんなイメージを抱いた人も多いと思うが、「チャイドルって子役とは違うんです」と、ひと言。

少女向けファッション雑誌『ニコラ』などに登場していたジュニアファッションモデルのことをチャイドルと呼称していたんです。テレビを中心に活躍していた愛ちゃんは雑誌モデルではないため、チャイドルのイベントに一緒に出演したことはないんです(笑)。

 私はモデルがメインで、たまたまドラマに出演する機会をいただきました。チャイドルブームと『木曜の怪談』の放送時期が重なったことで、“チャイドル=ドラマに登場する子役”と混同されてしまいましたけど」

 チャイドルは子役ではなく、雑誌モデルを出自とするというわけ。今、女子小学生や中学生がおしゃれをすることは普通だけど、野村さんはそのパイオニアでもあった。

「ですから、いま子役として活躍している子を見ると、私よりも全然しっかりしている! って感心しちゃいます。逆に言えば、雑誌モデルでもチャンスを活かせばドラマに出演できる、そんな時代に恵まれたなって思います」

 雑誌やテレビで大活躍の日々。となると、気になるのは家族はどう見守っていたのかということ。

「佑香の好きなようにやりなさいって。でも、あいさつをはじめ、礼儀や態度などには厳しかったです。また、母自身が現場で仲よくなったほかの子のお母さんたちとランチを食べに行くなど、母も部活動のように楽しんでいましたね(笑)」