なぜ、2回しか会っていない男を信じたのか?

 ところで、件(くだん)の彼とどのように知り合ったのでしょうか? 桃子さんの場合はマッチングアプリ。これはスマートフォンのアプリ上で相性のいい異性を探すツールです。

 具体的には居住地や出身地、年収や業種、趣味や好みのタイプなどを登録し、異性からのアプローチを待ったり、自分からアプローチしたりして接点を持ちます。最初はアプリの中でやり取りをしますが、途中からLINEのIDやメールアドレス、携帯番号などを教え合い、アプリの外へ移行します。そして最終的にはスマホの世界を抜け、現実の世界で直接会い、そして交際に発展するという流れです。

「2回目に会った際、告白されました。私が“真面目なお付き合いしかできない”と言うと、彼は“結婚を考えている”と。信用できる人だと思えたので交際を始めました」

 桃子さんはなぜ、たった2回しか会ったことのない人を信じてしまったのでしょうか? あくまでアプリの中のプロフィールなので真偽は不明ですが、彼は東大出身という34歳の金融マンで年収1200万円。タワーマンションに住んでおり、愛車はベンツのAクラス。プロフィールの写真は少しサイコパスな雰囲気ですが、容姿は比較的イケメンという印象だったそうです。

「私は過去のトラウマがあり、男性を信じることが難しいので、“本当に信じていいの?”と聞きました。」

 彼は二つ返事で「信じてほしい。昔の彼のことは忘れさせる。一緒に住みたいね」と言い、毎日のように「好きだよ」「愛してる」「桃ちゃんだけだよ」とLINEを送ってきたようです。さらに彼から、10年間付き合っていた彼女に浮気をされ、最近、別れたばかりだと聞かされたので、桃子さんは彼に同情し、心を許してしまったのです。

3回目のデートで「今日はヤル気で来ているから」

 桃子さんは3回目のデートで居酒屋へ行ったのですが、彼が桃子さんのお酒を次から次へと注文し、桃子さんは嫌われなくない思いから彼のペースに合わせて飲むしかなかったよう。

 すっかり酔いが回ったタイミングで、彼のほうからこう切り出してきたのです。「今日は(セックスを)ヤル気で来ているから」と。桃子さんは彼と付き合っているという認識でいたものの、まだ3回しか会っていなかったので「まだ早いよ」とはぐらかしたそう。しかし、彼が「じゃ、このまま帰る気?」と何度も誘ってきたので、桃子さんはこれ以上、断り続けると振られてしまうのではという不安な気持ちが入り交じり、結局、彼の家へ向かったのです。

「自分でも記憶が曖昧ですが、避妊具を付けずに行為をしようとしたので、“それだけはやめて!”と言ったことは断片的に覚えています」

 桃子さんはそう振り返りますが、帰り際に「もう会わないとか言わないでね。LINEの返事もちゃんとしてね」と言い、彼も「ちゃんと会うし、LINEも大丈夫だから」と返してくれたので、桃子さんは安心して家路に着いたのです。