「大手損害保険会社が安心で、保険金の支払いも渋りません。地方では共済や農協の保険に入っている方が多いと思いますが、損害保険に関してはおすすめしません。保険のプロのように、保険約款にも精通しているとは思えません」

 損害保険の大手といわれるのは、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上、AIG損保、あいおいニッセイ同和損保の5社。

 保険料を抑えたい場合は?

「楽天損保やソニー損保がいいでしょう。楽天損保は、新築の場合、保険料が安くなります。ソニー損保は、ネットや電話でダイレクトに申し込むため、費用は抑えられますが、自分で手続きを行わなくてはならないので、相談して決めたい方は契約店舗数が多い大手がいいかもしれません」

 火災保険を見直す際には、同時に地震保険もセットで見直そう。台風19号のさなかに関東に地震があったのは記憶に新しい。

「地震保険も単独のものはなく、火災保険とセットでの契約となります。地震で全半壊した場合、火災保険金額の50%しか下りないという決まりがありますが、それを100%にする特約が損保ジャパン、ソニー損保にあります」

 ただし、補償を手厚くすればするほど、支払う保険料も高くなるのでご注意を!

災害に遭ったら写真を撮っておく

 被災したときの保険申請はどうしたらいい?

「加入している保険会社の事故受付へ連絡しましょう。申請を確実に行うには、家を片づける前に写真を撮っておくことも重要です。浸水していたら、室内外どこまで水が上がったかを確認できる画像も撮影しておきましょう。補償の対象は床上浸水か、地盤面より45cm以上です」

 保険金の申請に自信がなかったら、尾前さんのような調査会社に依頼するのもひとつの手段。事前の着手金などはなく調査費は無料で、保険金が下りた際に手数料を支払うシステム。

保険金の申請とともに、修理やリフォーム工事の申し込みを要求するところは要注意です。ブラック業者のほとんどは、保険のプロではないので、保険金が下りずにリフォーム費用だけ発生したというトラブルが後を絶ちません」

 備えあれば憂いなし。いますぐに火災保険を見直して、今後も起こりうる災害に備えておこう!

*楽天損保の「新築割引がある」は、「新築の場合、保険料がお安くなります」の誤りでした。また「地震で全半壊した場合、火災保険金額の50%を100%にする特約がある」からは削除いたします。訂正してお詫び申し上げます(2019年11月6日16時50分修正)。


尾前美幸さん◎尾前損害調査オフィス代表。大手外資系損害保険会社の火災保険専門チームで代理店営業および指導、保険金支払いの対応などの業務に関わる。退職後、2018年に損害保険会社で勤務経験のある火災保険に精通したメンバーとオフィスを設立。マイベストプロ https://mbp-japan.com/tokyo/omae-office/