2人目を望むカップルを阻む大きな“壁”

「2人目の不妊治療は、子育てと仕事の両立の中で、越えなければならないハードルが多すぎます。タイムリミットに向かいながら、悩んでいるうちに日々が過ぎていきます」

 と、不妊治療の環境向上のための活動を続けている特定非営利団体『ファイン』の会員で会社員の秋山智子さん(仮名・39歳)。

子どもがいるといないでは、不妊治療の悩みがまったく違います。なんといっても、目の前の子どもの幸せが大切になりますから……」(秋山さん、以下同)

 秋山さんは1人目も不妊治療を経験。8年間にも及ぶ治療を経て、女の子を無事出産した。

「今2歳なので可愛くて可愛くて……夫、義父母、実父母と両家が一緒になって大切に育てています」

 2人目を考え始めたのは出産から1年後。

「次は自然妊娠ができたらいいなと漠然と思っていましたが、現実は難しく、不妊治療の開始に悩む日々を送っています。年齢的に早く始めなければならないのはわかっていますが、不妊治療の流れを知っているだけに、また同じことを繰り返すのかと思うと、気が重くなります」

 治療の大変さを痛感しているだけに、悩みは深い。

「1人目はタイミング法から始めましたが、何回か流産を繰り返してしまいました。検査の結果、夫の精子の運動量が少ないことと、私がプロラクチンというホルモンの値が高いことがわかり体外受精へ進みました」

 プロラクチンというのは、脳下垂体から分泌され生理や母乳に関わるホルモンのこと。値が高いと排卵に影響したり、受精しても着床しにくいという。

「体外受精で妊娠はするものの流産となったり、子宮外妊娠となり、片方の卵管を切除してしまいました」

 やっと5回目の体外受精で念願の出産を果たし、幸せな生活がスタート。出産後1年が経過したころ、2人目を考えるようになった。

「以前は出産だけを目標に頑張れましたが、今は目の前の子どものために頑張ることが最優先。不妊治療を始めるとなると、1人目のようにはいきません」