夢が叶い、引き出しが空っぽに

『ポンキッキーズ』では、まだブレイク前のピエール瀧や安室と共演していた。当時、彼らとどんな時間を過ごしたのか聞いてみたが……。

「実は、忙しかったこともあって、細かいことはあまり記憶にないんですよ。たまに、You Tubeで昔の映像を見ると、“こういうこともやったかな?”って思うくらいですから」

 今となっては、ほとんど覚えていないようだが、 “相棒”のことは印象的だったようで─。

「番組で一緒だった安室のダンスを見て、素直にすごいと思いました。それからダンスのレッスンに頻繁に通うようになりましたね」

『ポンキッキーズ』(フジ系)では、安室とともに人気者になった
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 バラエティー、CM、歌手とあらゆる分野で活躍し人気絶頂だったが、23歳になった'99年に突然、アメリカのニューヨークに留学した。いったい何があったのだろう?

「当時、自分がやりたいことを全部やり終えてしまったような感覚になったんです。バラエティーや歌の仕事など、子どものときからやりたかったことがすべて叶ってしまった。

 そうなったときに、次はどうしようと考えるように。自分の中の引き出しが空っぽになっていることに気がつきました。引き出しの枯渇を埋めるために、海外へ行こうと思ったんです」

 現地での生活は、心の空白を満たす出来事の連続だったという。

「12月に留学していたので、現地はかなり寒く、地下鉄の乗車券を出そうとしたときに、手がかじかんで出せず、その間に電車が来てしまったことがありました。すると、近くにいた若い男性が自分の乗車券で改札を開けて、“行きなさい”と促してくれたんです。

 電車の中でも、みんな大きくてつかまるところがなく、困ったなと思っていたら、黒人のおばさんが“このバッグにつかまりなさい”と言ってくれました。友達から“ニューヨークは孤独を感じる街”と聞いていましたが、滞在中は楽しくてしかたありませんでした」

 一見、たわいのない出来事のようにも見えるが、なぜ心を満たしてくれたのだろうか。それは、彼女がひそかに抱えていた“苦悩”が関係していて……。

「13歳から仕事をしていましたが、周りの人はみんな優しくて面と向かって怒ってくれる人はいませんでした。ただ、当時、広告代理店の人に“この世界でわがままになったらいけないよ。仕事先の人は表面上にこやかにしているけど、裏では何を言っているかわからないからね”と忠告されたことがあったんです。

 それ以来、仕事で関わる人は“タレントの鈴木蘭々だから優しくしているのかな?”と思うようになりました。だからこそ、誰も私のことを知らないニューヨークで、優しくしてもらえたことがとてもうれしかったんです」