PART3:ミドル・シニア世代の落とし穴

「名前で呼ばれる銀行窓口」での落とし穴

イラスト/上田惣子
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 銀行は、個人の口座を見ながら、お金を持っている人には、名前で呼びかけ、投資に誘うのがお決まり。けれどその誘いに乗って投資をしたら、後悔することになりかねない。金融庁のデータでは、投資信託を買った人の46%が損をしていると出ている。「ましてやこの金融不安な時期に、言われるがままに投資するのは、鴨がねぎを背負って鍋に飛び込むようなものですよ」。銀行には近づかない、インターネットバンキングとATMがあれば、たいていのことはすむし、そのほうがおトク!

インターネットバンキング手数料

「免許返納すると、身分証明書がなくて困る」の落とし穴

イラスト/上田惣子

 免許を自主返納すると運転経歴証明書がもらえ、これは身分証明書としても使える。さらに自治体によって異なるが、さまざまな特典が受けられるのだ。例えば東京の場合、巣鴨信用金庫や西京信用金庫などでは1人500万円までスーパー定期の金利が、店頭より0・05%高くなる。デパートでは配送料が無料になったり、バスやタクシーに安く乗れたり、スーパーで5%引きになるなどのおトクな特典がある。(詳細は高齢運転者支援サイトで確認を)

「自宅を担保にお金を借り、死後に精算」という落とし穴

 最近よく耳にするリバースモーゲージという不動産活用法が話題だ。自宅を担保にお金を借り、死後に自宅を提供することでチャラにするというもの。ただし建物の価値はカウントされず、土地の価値に対して5~7割程度が融資額。5000万円の土地でも、借りられるのは2500万~3000万円まで。さらに3~4%の利息がつくので、仮に2500万円を借りた場合、年に75万〜100万円を支払うことに。長生きしてお金が足りなくなり、利息が払えなくなると、家を取られてしまうことにもなりかねない。「いいことばかりの説明を鵜呑みにしないでください」

「うちには遺産ないから相続争いはない」の落とし穴

イラスト/上田惣子

 家庭裁判所に持ち込まれる3割が1000万円以下で争っている。5000万円以下まで広げると75%になる(平成28年司法統計)。多額の遺産があると親は遺言状を書くので、もめることは少なく、逆にまさかという金額で、骨肉の争いになってしまう。「親としては、元気なうちに遺言を書く。それが親の最後の務めではないでしょうか」

「夫の年金を分けて、離婚したい」の落とし穴

 人生は1度きりだから、残りの時間を自分のためだけに使いたいと、考える人は少なくない。ただ、経済面からだけ考えれば、定年後は離婚しないほうが絶対にいい! サラリーマンの夫と専業主婦の妻が離婚する場合、夫と一緒にいた期間の厚生年金を、年金分割という形で夫から分けてもらえる。ざっくり言えば、2人で20万円の年金を10万円ずつ分けるイメージ。「10万円でひとり暮らしするのはかなり厳しい。どうしてもという理由があれば別だけど、夫婦関係の改善を図ることを考えてほしいですね」

「宝くじに夢を託す」という落とし穴

 宝くじの売上金のうち、当せん金として支払われるのは46・8%。ギャンブルの還元率を見ると、オートレースが70%、競馬が70~80%、パチンコは80~85%。還元率としてそれほどよくないのだ。

「大切なお金の使い方はよく考えて、ここぞというとき有効に使いましょう」


お話を伺ったのは……
経済ジャーナリスト 荻原博子さん
難しい経済の仕組みをわかりやすく解説することに定評があり、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『騙されてませんか 人生を壊すお金の「落とし穴」42』『最強の相続』など多数。

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