閉めるか開けるか、せめぎあいの毎日
市川市の居酒屋のオーナーは、近隣の飲食店と毎日のように情報交換をしているそう。
「うちは休業要請の対象外ですけど、みなさんドキドキしながら営業している状態です。市川は休業補償に20万円出るという噂が出ているんだけど、税金払っているんだから、安倍さん守って! と言いたいです」
翌日、市川市では20万円の補償内容が発表されたが、このオーナーの苦悩は続く。
「営業をしているだけで犯罪者扱いされ、一国民として申し訳ない気持ちもあるけど、休んでも誰かがご飯を食べさせてくれるわけではない。店を閉めるかどうか、毎日がせめぎ合いの日々です」
そうした後ろめたさに、こっそり営業している店も多いが、都内のあるスナックは堂々と看板の明かりをともして営業していた。ママが営業のモットーを語る。
「私は1度も結婚せずに42年間、水商売一筋でね。だけど、同伴出勤はしない、アフターも行かない。枕営業はいっさいしない、パトロンも持たないでやってきたの。妙な誘いをかけてくる客がいると“あなたはもう来ないで!”と追い出すの。だから、明かりをつけてないと、お客さんは来ないのよ」
しかし、さすがに「緊急事態宣言」が出ると3日ほど店を休み、再開するか悩んだというママ。
「これまでも国にも、男にも頼らないで生きてきたんだから、自力で生きていく姿勢を、貫き通そうと決めたの。
後ろ指をさされていますけど、その人が助けてくれるわけではないでしょう。営業することは違法じゃなくて、あくまで要請ですからね。拒否する選択肢だってあるはず。“開けといてくれて、ありがとう”って言ってくれるお客さんもいるの。水商売冥利に尽きるわ。涙が出るほど、ありがたいですよ」
どの業種や店舗も、日々の収入を得るために、まさに命がけでコロナと闘っている。
彼女たちの主張をきちんと受け止め即効性のある対策も立てないと、コロナが終息した後も、街に活気が戻らなくなってしまう。