一日中家にいるのに家事を全く手伝わない夫

 萌子さんの勤務先は感染者の受け入れ先ではなかったものの、味覚や嗅覚、海外渡航歴、発熱の有無などのチェックリストを作成し、来訪者全員に記入してもらい、保管しなければならず、毎朝、自分の体温を測ったり、勤務中も1時間おきに両手を消毒したり。感染が疑われる同僚はいなかったものの、不特定多数の来訪者と接しているので、いつ何があってもおかしくないストレスフルな環境で、日ごろより増えた仕事をこなしていくのは心身ともに疲弊したそうです。

 一方の夫はどうでしょうか? 感染リスクを覚悟の上で物色するほどではないマイホーム購入は、不要不急でしょう。そのため、2月中旬には夫の勤務先(住宅販売の店舗)は休業を決め、テレワークへ移行。電車で事務所へ出勤せず、最低限の仕事を自宅のパソコンで行うだけ。コロナで負担が増加した萌子さんと、負担が軽減された夫。

「結婚する前は優しかったんです。コロナで大変なんだから、少しは心配してくれるかと……」と萌子さんは淡い期待を抱いていたのですが、自宅待機状態の夫は終日、体力や時間、やる気を持て余しているのに相変わらず家事はいっさい手伝ってくれません。

「みんな大変なのに、なんであんただけこうなの! って思います」と萌子さんは訴えます。筆者は「旦那さんはまだ状況を甘く見ているのでは? 過去に災害が起こったとき、心を入れ替えて、やり直した夫婦もいますよ」と萌子さんを諭したのですが、話を聞くと、さらに夫の無神経な言動が萌子さんに追い打ちをかけていたのでした。

 夫から発せられたのは萌子さんへの感謝ではなく、金銭の心配だったのです。

(後編へ続く)

※後編は5月18日20時30分に公開します。


露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
1980年12月24日生まれ。國學院大學法学部卒。行政書士、ファイナンシャルプランナー。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化して、行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界で最大規模に成長させる。新聞やウェブメディアで執筆多数。著書に『男の離婚ケイカク クソ嫁からは逃げたもん勝ち なる早で! ! ! ! ! 慰謝料・親権・養育費・財産分与・不倫・調停』(主婦と生活社)など。
公式サイト http://www.tuyuki-office.jp/