覚悟を決めたうえでの感染は、自己責任といえるかもしれないが、家族や“昼職”の同僚などに感染させてしまうおそれはないのだろうか。

 前出のデリヘル嬢は、こう説明する。

「ひとり暮らしで、帰省もしていないから、家族に感染させる心配はない。昼の職場は若者が多いので、もし感染させたとしても、重症化しないのでは……」

 前出の業界関係者は、性風俗を取り巻く状況について、次のように述べる。

「これまでの休業補償などは、性風俗店の従業員は対象外にされたこともあり、偏見にさらされるかわいそうな側面もあります。さらに、現在は自治体がPCR検査をホストクラブやキャバクラと交渉して積極的に行っていますが、性風俗店までには及んでいません」

客の言い分、岡村発言の現状

 性風俗業を必要悪、不要不急と切り捨てることは簡単だ。しかし、彼女たちが働くのは客がいるからでもある。男性たちの“言い分”は?

 都内のピンサロから出てきた客(50代)は、

「オレは健康だし、パチンコも行っていて、感染はあまり気にしていない。うちには家族もいるが、感染させることも深刻に考えていないね」

 と悪びれない。同じピンサロから出てきた10代の客も、

「感染は少し気になるけれど……。それでも、やっぱり、性欲のほうが勝るというか、我慢できなくなる」

 と苦笑するのみ。

 前出の所沢さんは、コロナ禍の客質の変化を感じ取っている。

「家族持ちや、一定の地位にいる人は行かないようになっていますが、輩(やから)系や、定職についていない人が相対的に増えている。性欲が強い人や、女の子への独占欲が異常に強い人も多い。

 とりわけ輩系は、禁止の本番行為を強要してくるなど悪質。女の子もこの時期だと断りにくいので、かわいそうな状況です。それで病んでしまった子までいる」

 前出のひなさんは、お客さんについて、

「最近、医療関係の方は見なくなった」

 と言うが、SMの無我はそうでもないと証言する。

「もちろん、この時期なので、客数は半減ですよ。でも、SMクラブは高額なので、昔からいわれているように、医師、弁護士、大学の教授といった方は相変わらずいます」

 コロナ不況も進み、冒頭の岡村発言のような状況になっているのだろうかーー。

「パーティーのコンパニオン、“パーコン”はパーティーが開催されなくなったため、一部が性風俗業界へ流れているようです。岡村さんの発言は真実をついているところもあります」(前出・業界関係者)

 1日の感染者数が日々更新されるなか、各自治体で緊急事態宣言を出し、接待を伴う店の制限が再び始まっている。性風俗店も含めた平等な規制や補償が必要だろう。前出の業界関係者はこう現状を分析する。

「PCR検査で性風俗店員が陽性になっても、“風俗で働いています”とは言えない人もいる。同時に、その客が陽性になっても、妻子や勤め先があれば、風俗で感染したとはなかなか言えないでしょう。そんな状況が、感染経路不明の最大の要因になっているかもしれません」

 性風俗への偏見をなくすことが、コロナの“第2波”を抑える手立てのひとつになるかもしれない。