「油脂は身体を支える大切な栄養素のひとつ。とる油を変えると“脳が若返る”“60種類以上の病気が改善する”とも言われるんですよ」

 と教えてくれたのは、油の専門家、オイリスト・地曳直子(じびきなおこ)さん。

油の選び方ひとつで大病を防げる

 新型コロナウイルスの影響で、人との会話や外出が減って、脳への刺激が少なくなりがちな昨今。また、身体のさまざまな不調や免疫力も気になるところ。そこで今こそ、注目したいのが油だ。

 家族の糖尿病をきっかけに栄養療法を学んだ地曳さん。教えを受ける先生によって多様な考え方があるなか、唯一、共通していたのが「油のとり方の大切さ」だった。

「私たちの身体は、とる油によって、体質や体調が大きく変わってくるんです」

 そもそも、油脂は、身体でどんな働きをするのか。主な働きは3つあるという。

「1つ目は、身体のエネルギー源。『太る』というイメージはここからですね。ただ、油脂には身体にたまりやすいものと、たまりにくいものがあります。どんな油脂をとるかによって、体脂肪のコントロールもできるんです。

 2つ目は、細胞の“膜”としての働き。よい油脂をとれば、全身の細胞をよい状態にしてくれます。

 3つ目は、ホルモンのような働きで身体を調整する働き。この働きがよければ、脳梗塞やがん、認知症のリスクを下げられると考えられます」

 つまり、認知症のリスク回避から生活習慣病の予防、肌の調子までが、日ごろからどんな油をとるかにかかっているということ。

 では、身体によい油のとり方とは? 次のページから詳しく解説していきます。

《油脂の3大機能》

1.身体を作る
 身体の器官・臓器を形作る細胞の膜を構成し、細胞の機能を維持。約37兆個の細胞の状態を、食べる脂質によってコントロールできる。

2.身体を整える
 免疫機能、炎症、鎮痛など幅広い生理機能をもつシグナル分子「脂質メディエーター」を作り、身体の状態を整える。

3.身体を動かす
 脂質は1gあたり9kcalの熱量を生む。糖質とタンパク質は、1gあたり4kcalなので、三大栄養素の中でもっとも効率のよいエネルギー源。