それを受けて、芸能に詳しいメディア評論家の宝泉薫氏は、「所属事務所が社会的責任をどれだけ負っているかもポイント」と続ける。

 ’19年6月に発覚した吉本興業の闇営業問題で謹慎処分(契約解除処分の撤回検討)となった雨上がり決死隊・宮迫博之はYouTuberとして再出発したが、いまだテレビへの復帰はかなわない。一方、同年10月、巨額脱税問題で活動を自粛していたチュートリアル・徳井義実は先月、地上波に復帰。なぜ徳井は早々に復帰できるのか?

個人の問題が会社まで及ぶかが問題

「申告漏れは徳井個人のパーソナルな問題ですから、会社である吉本興業は“個人の責任”と割り切ることができます。しかし、宮迫のケースは反社会的勢力とのつながりが問題視され、会社の責任も問われた。自社サイトで『笑いの総合商社』と謳(うた)う吉本のような大企業にとって、黒い関係がちらつくことは大打撃になる。宮迫も徳井も功労者ですが、吉本芸人として復帰する道のりは変わってくる」(宝泉氏)

 会社の公共性を損なわせたことに加え、目先の利益に走ったことも大きいと指摘するのは、前出・中川氏。

「相方である蛍原とのコンビ復活ではなく、結果的にYouTuberの道を選んだ。対照的にロンドンブーツ1号2号の田村淳と田村亮はコンビ愛を見せつけ、世間から高評価を得ました。宮迫は短期的な利益に目がくらみ、間違ったタイミングで大企業から独立したフリーランス。前途多難でしょうね」(中川氏)

 芸人が不祥事を起こした場合、横のつながり、すなわち芸人仲間のフォローもカギを握る。ところが、テレビではなく動画配信に走った宮迫に、協力的な姿勢を示す芸人は少ない。“急がば回れ”の大切さを教える格好に。

 反面、アットホームで職人肌の多い芸能事務所の人力舎所属のアンジャッシュ・渡部建は、周りからのサポート次第では再浮上ができそうなもの。

「人力舎は、さほど上下関係を気にしない風通しのいいお笑いプロダクションですが、渡部はその中でも異端児でした。お笑いの仕事以上に、さまざまな利権を作り出すマルチクリエイターのような存在でしたから、事務所としてもどう復帰させていいかわからないところがあるのではないか」(宝泉氏)

 芸人としてのイメージが強ければ、コントで全国ツアーをする、芸人仲間からイジられるといったリハビリができるかもしれない。しかし、渡部は組織の中にあって、他社からの外部委託案件を次々と個人でこなしていたタイプ。事務所ですらハンドリングできない治外法権的な存在だとしたら、妻・佐々木希の手腕にかかっているとも。もしくは、“多目的トイレ不倫”というインパクト大の火遊びの影響で、同じく不倫によって渦中の人であった東出昌大の影が薄くなったと同様に、渡部もまた、誰かの不倫が報じられることで逆風がやむのを待つしかないのか……。