国内で新型コロナウイルスの感染者の発生が確認されて10か月が経つ。Go Toキャンペーンの実施もあり、外を歩くと行き交う人も増えて街が活気を取り戻しつつあるが、冬に向けて再拡大が危惧される。そんな中、国内の介護現場では相変わらずコロナ対策の決め手がないまま、介護に携わるスタッフや家族の模索状態が続いている。

 地方に住む母親の遠距離介護をスタートせざるをえなくなった筆者が、8月に公開した第1弾記事(【コロナ禍の遠距離介護】東京から通うとサービスが使えない! 「介護崩壊」の危機)に続き、現状をレポートする。

東京在住の家族が介護するとサービスを使いにくい

 コロナが感染拡大していた3月、突然の父の死によりひとり暮らしとなってしまった高齢な母の世話をするため、遠距離介護を開始した。

 東京から静岡県にある実家に通っているのだが、感染者が多い東京から家族が訪問すると、利用者は2週間、使えるはずのさまざまな介護保険サービスが使えず、その間は家族のみで介護せざるをえなくなる。デイサービスもショートステイもヘルパーの利用も、この2週間という期間に阻まれ、なかなか利用できない。それでも6月には、2週間という期間にとらわれずに、独自の判断でデイサービスの受け入れをする施設が見つかり、週2回利用できることになった。

 9月のある日、担当ケアマネジャーより、実家のある函南(かんなみ)町ではなく、隣の三島市内の事業所でショートステイの受け入れをしてくれるところが見つかったと連絡があった。このころ、筆者は仕事の都合でたびたび東京に戻る必要が出てきており、その間は母をショートステイに預けたいと考えていたため、ありがたかった。

 ところが、「送迎時にスタッフは玄関には一切入らず、門扉までです」と説明があり、あ然とした。実家の門扉と玄関の間は距離が短いながらも庭石や植木があるため、1人では歩くことがおぼつかない母には安全とは言いきれない。考えた末、断った。結局、日中だけでも母が1人でいる時間を減らすために、デイサービスを週1日増やすことで対応することにした。

 しかし筆者が東京に戻った後、安否確認はデイサービスでは補えない。特に夜間、母の様子を確認できるサービスはないのか、担当のケアマネジャーに尋ねてみた。

「玄関先で母の安否を確認してもらうだけでいいのですが、そのようなサービスはありませんか」

 返ってきた答えは、

「夜、ヘルパーさんに安否確認だけ依頼できる仕組みはありません。買い物や掃除等のサービスを依頼してあれば、そのときに確認ができますが。東京ではあるでしょうけれど、このあたりの地域ではありません」

 介護保険サービスで使える内容にも、都会と地方では差がある現実を突きつけられた。