昭和時代を思わせる
若手抜てきの狙い

 たとえば、学園ドラマのヒロインなら、これくらいの若返りも理解できるが、前述した作品はいずれも働く女性を描いたものばかり。森七菜や浜辺美波は、コンビニスイーツ開発社員や和菓子職人よりも、高校生や大学生役のほうがしっくりくる年齢だけに、「なぜ?」と首をひねりたくなる人も少なくないだろう。

 なぜ恋愛ドラマのヒロインが急速に若返っているのか? その理由は、民放各局が彼女たちと同世代や、少し上の世代の視聴者層を集めたいから。これまで民放各局は世帯視聴率を獲得するために、刑事、医師、弁護士をはじめとする中高年層受けのいいドラマを量産してきた。

森七菜(2019年12月、映画『ラストレター』舞台挨拶)
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 しかし、スポンサーは若年層の視聴を求めているため、CM収入を得ていくことが徐々に難しくなり、さらに今春、視聴率調査がリニューアル。年齢性別ごとの詳細データが得られるようになり、若年層受けのいい恋愛ドラマが見直され、ヒロインの若返りが進んでいるのだ。

 森七菜に話を戻すと、朝ドラ『エール』(NHK)に出演しているものの、連ドラのレギュラー出演はまだ数える程度であり、明らかに発展途上の段階。同世代で言えば、浜辺美波や清原果耶のような経験がないにもかかわらず起用されたことが示唆に富んでいる。

 この起用は、「素質を見込んで鮮度の高いうちに抜てきする」「撮影現場で育てる」「視聴者に成長の過程を見てもらう」という昭和時代のドラマを思わせるものがあり、かつての朝ドラに近いようにも見える。また、前述したように、視聴率調査が変わったことで視聴率に関する評価基準が変わり、若手女優たちが背負うノルマ的なプレッシャーがやわらいだことも大きい。