踏まれても立ち上がり続ける

 祖父の死を悲しむ間もなく災害対応に追われた。救助された住民たちがヘリで運ばれてくると、その誘導をし、避難所の担当になれば、泊まりがけで運営に奔走した。

 箱根の思い出もみんな水に浸かり、箱根を走ったシューズは泥の中から発見された

「しばらく走るのはいいかなって思ってしまいました」

 打ちのめされた地下さんを支えたのは『箱根駅伝』と仲間たちだった。

猛練習したつらい日々を思いし、まだまだできる、って自分を奮い立たせました

 高校の陸上部の先輩からの救援物資の白いシューズが再び走る気持ちを与えた。

 現在も故郷の復旧、復興のために力を尽くす。

「母校のチームには“雑草精神”って言葉があるんです強い選手はいなくてもみんなで強くなる踏まれても立ち上がり続ける、そんな思いで走っていた雑草軍団です

 どんなに過酷な状況下にあっても歩みを止めない、そんな精神が今に生きている。

「注目選手はひと握り。多くの選手が出場できるかできないかのギリギリ。箱根は1日だけですが、選手たちはその1日のために364日必死で頑張っています」

 箱根を走れなくても自分を鼓舞し、必死に取り組んだ姿勢は生涯の宝だ

「僕たちを奮い立たせてくれる。それが箱根駅伝です」