(左から)原田龍二と大仁田厚
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原田 たしかに、大仁田さんは人生を楽しんでる印象があります。

大仁田 模索しながら、がむしゃらに生きるのも楽しいですよ。俺も原田さんも、いろいろな波があるかもしれないけど、それを乗り越えることが運命だし、乗り越えられる強さが問われてる時代だから。尊敬される人より、記憶に残る人間になるのがテーマですね。

原田 同感です。すでに、大仁田さんの生きざまはプロレスを知らない人にも焼きついている。これは、本当にすごいことだと思います。

ジャイアント馬場さんとの思い出

原田 大仁田さんに直接お聞きしたかったんですけど、どうして(ジャイアント)馬場さんの付き人になったんですか? 

大仁田 全日に入門したのは、本当に“たまたま”なんですよ。高校を中退して、リュックサックひとつで日本1周の旅に出ている最中に実家が火事になって、呼び戻されたんです。

 実家で瓦礫を片づけてるときに「今さら日本1周してもしかたないだろ」と親父に言われて、馬場さんとつながりがあるプロモーターを紹介されて15歳で入門しました。両親の離婚後、俺は親父に引き取られて。とにかく早く自立したい思いも強かったですね。

原田 馬場さんって、どんな人だったんですか?

大仁田 繊細な人だったねえ。読書家だし、油絵も描いていた。すごく堅実だしね。「おーい、大仁田」と呼ばれて馬場さんのところに行くと、「俺のズボンのポケットに入ってた小銭はどうした?」って言うわけ。俺はネコババしないよ。だけど、馬場さんのコーヒーなんかを買うのに、その小銭を使っちゃったからもうないわけ。内心は“ジャイアント馬場さんが小銭数えちゃダメだよ”って思ってました(笑)。

原田 アハハ! なんだか、かわいらしい人ですね。

大仁田 いやいや、全然かわいくないけどさ(笑)。『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる“ぬりかべ”みたいだし、夫婦ゲンカの仲裁はやらされるし。でも、世間知らずの俺を拾ってくれた大先輩であり師匠だし、すごくカッコよくて、大好きでしたよ。出会った師匠を好きになれるかどうかで、その後の人生は大きく左右されると思う。

原田 15歳の少年にとって、師匠は特に重要な存在ですよね。

大仁田 そうそう。聞いた話では、俺は馬場さんからいちばんかわいがられた弟子だったらしいよ。役者をやらせてもらったときは渡哲也さんに目をかけてもらったし、議員時代は九州の道路族のドン、古賀誠先生にかわいがってもらったし……。なぜか、ボスに好かれるんだよなあ。

原田 それはきっと、大仁田さんの人間力がなせるワザだと思いますよ。