ここ数年は問題を起こしたニュースばかりが目立つが、泰葉の本業は歌手だ。今後について聞くと、

「どうしてこうなったんだろうって……もう還暦になったので考えて。やはり自分がすべきことを全うしてなかったっていうことがいけなかったと思うので、自分が培ってきた音楽をまたイチからやり直すというか、音楽を中心に活動していきたいと思います。待ってくれているファンの方もたくさんいるので、ライブを中心に活動していくと決めました。歌をうたうことに決めました」

 現在はYouTubeにチャンネルを持ち、弾き語り動画などをアップし、活動は再開しつつある。

「今後が楽しみですね。これだけの経験をした今、どんな歌がうたえるのか。(YouTube用の)動画もたくさん撮ったものがあるので、編集が終わり次第、どんどんあげていきたいと思っています。今はYouTubeが音楽活動となっていますが、やはりコロナが終息して、またライブができるようになったら、ライブで“復活”ということになると思います

病気に人生を振り回される人も

 泰葉に双極性障害の病状について聞いたが、いったいこの病気はどのようなものなのか。精神科医で、日本の双極性障害研究の第一人者である順天堂大学医学部精神医学講座の加藤忠史教授に解説してもらった。

「双極性障害とは、“躁状態”と“うつ状態”が起きる病気です。人数としましては、世界的におよそ100人に1人くらいの割合。けっしてまれな病気ではありません。

 うつ病だと思っていたら、双極性障害だったということもしばしばありまして、診断が非常に難しく、また時間がかかる病気です。診断に至るまでに平均4年から10年くらいかかると言われています。そして多くの方が、病気を受け入れない、受け入れるのに時間がかかるということから、病気に振り回される人生を送られる方も少なくないというのが実際のところです」

 なぜ診断にそれほどまでに時間がかかってしまうのか。泰葉も4年という長い時間を躁状態で過ごしている。

「うつ状態からはじまった場合は、うつ病と診断するのがある意味正しいわけですので、その途中から躁状態が出てきて、双極性障害と診断が変わります。最初からどうしても双極性障害と診断できないという原理的な問題が1つ。

 もう1つは、躁状態が途中から出てきたとしても、多くの方が“うつ状態”という状態は、ある程度最近では知られていると思いますが、“躁状態”という状態の病気が存在するということ自体が世の中に知られていないんですね。周りの人が突然、躁状態になったときに“これはおかしいな、病気だな”と思う人が少ない」

 いわゆる“躁状態”とは、どういったものなのだろうか。

「基本的に気分が爽快になる状態が1日中続き、それが毎日毎日ずっと続きます。よく勘違いされるのは、何かいいことがあって気分が上がるとか、ひどいことを言われて、カーっとなるとか、それらは全然違いまして、1週間くらいの間ずっとハイテンションが続いてしまう。しかも思いついたことをどんどんやりすぎてしまうので、場合によっては借金を抱えてしまったり、身近な人に暴言を吐いたり、それで人間関係を失ってしまったりします