転職サイト『リクナビNEXT』の元編集長で、現在は“ミドル世代専門転職コンサルタント”として活動する黒田真行さんは、一般企業に転職するアナウンサーやアイドルが増えた背景をこう分析する。

「昨今のコロナ禍もあり、各企業が広告費を削減。テレビ局や芸能事務所が苦境に立たされ始めていることで、メディアへの出演で収入を得るのが以前より難しくなっています。そんな中で直接、企業と契約を結んだり、企業に所属したりすることで収入を得ようと考える人が増えているのでしょう。企業側としても、タレントを迎えることで広告塔としての役割も期待できます

第2の人生を歩むアイドル

 エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは、芸能界の変化も関係していると指摘する。

「AKB48のブレイクによりグループアイドルブームが起きたことで、アイドルになる人が昔より増加しました。いろいろなタイプの人が出てきたこともあり、結婚してもアイドルを続けるなど、多様性のある生き方や考え方が受け入れられる時代になっています。そのため、芸能界にしがみつかず裏方に回って活躍する人など、第2の人生を歩むアイドルたちも増えていますね」

 セカンドキャリアについて、アドバイスする芸能事務所も増えているようだ。

「30歳を過ぎていたり、結婚しても続ける人が出てきたりとアイドルの総数が増えているため、生き残るのも厳しい世界。そのため、卒業後に女優やタレントとして1人立ちするのが難しそうなメンバーには、現役時代から“卒業後の就職先は考えているか?”といった聞き取りをし、一般常識が備わっていて能力が高い子には就職先を紹介するケースもあります」(芸能プロ関係者)

 前出の黒田さんもこう続ける。

「もともとタレントやアナウンサーとして活躍していた人はコミュニケーション能力も高いでしょうし、広報職などであれば今までいた世界に近いため、一般社員と同等の活躍が期待できます。ただ入社したからセカンドキャリアとして成功というわけではなく、3年、5年と続け、仕事内容が評価されてこそ本当の成功と言えます。ですから今回、名前が挙がった方々の真価が問われるのはこれからでしょう」

 同僚が元芸能人……という時代も、珍しくなくなるかも?