目次
Page 1
ー 充実した日々のすべてが一変した夜
Page 2
ー 「孤独な日々でした」涙、涙のリハビリ生活
Page 3
ー 「よんなー、よんなー」リスナーがくれた勇気

 その日は友人と楽しくお酒を酌み交わした。帰宅後、シャワーを浴びて浴室を出た後、不意に意識を失い、その場に崩れ落ちた。沖縄の放送局・琉球放送で、軽妙な語り口でお茶の間での人気を博してきたアナウンサー、狩俣倫太郎さん(52)。2023年9月、彼を襲ったのは、何の前触れもない脳梗塞だった。

充実した日々のすべてが一変した夜

手術後、数日で始めたというリハビリ。懸命に取り組むものの、毎日涙があふれて止まらなかったという
手術後、数日で始めたというリハビリ。懸命に取り組むものの、毎日涙があふれて止まらなかったという

 緊急手術によって一命を取りとめたが、目を覚ました狩俣さんを待っていたのは、あまりにも残酷な現実だった。

「目が覚めたら病院のような景色が見えました。でも、しゃべれなかった。自分の名前すらわからず、相手が何を言っているのかも全く理解できない。意味がわからない……ということも言葉にできない状態でした」

 診断は、最重度の「失語症」。言葉を司る脳の左側が損傷を受け、検査画像では広い範囲にダメージが確認された。振り返れば、体調の異変はあったのかもしれない。もともと、血圧が140前後と高めだったため、同居するパートナーからは「お酒を飲んだらシャワーは浴びないほうがいい」と常々、言われていたのだとか。

「パートナーの忠告を聞かずに、あの日友人とお酒を飲んで、シャワーを浴びてしまった。もしあの時、シャワーを浴びていなかったら……と考えることも」