ジムを訪れて見えた浜口家の仲の良さ

 浜口といえば、娘の京子に檄を飛ばす姿の印象が強い。

アテネオリンピックから女子レスリングが正式種目になり、世界選手権で5回優勝した京子が2回連続で銅メダルを取ったときに、疲れ切ってしまいました

 すると突然、マスクをしたまま走り回りながら“カモンカモン、ゴー、アイアイアイ〜!”という声をあげる。ハアハアと息を吐きながら浜口が続けた。

気合を集中すると息が詰まってしまい、持つわけがない。だから笑って開放する。でも、実際には笑ってない。声を出して発散しているんです。気合を入れて集中、ワッハッハーと笑って解放。これは俺が編み出したんです

 ここで再び大声を出して走り回り、十分な距離を取りながらスクワットを披露した。

「ジムは今年で34年になります。俺が元気でなくちゃしようがないですからね」

 それから、浜口の熱い講義が続き、プエルトリコでチャンピオンになった話、国際プロレスの解散から、新日本プロレスに気合を入れて乗り込んだ際、先輩のラッシャー木村さんが「こんばんは、ラッシャー木村です」と丁寧に挨拶してズッコケた話、猪木との1対3の試合の話などなど。その経験のひとつひとつが“気合”と“ワッハッハー”につながったのだそうだ。

 途中、娘の京子が「初めまして、浜口京子です」と、恥ずかしそうにペットボトルの飲料と菓子を持ってくるも、浜口に「俺が話してるときに来るな! 何言ってたか忘れるだろ!」と追い返されて笑顔で退散。別れ際には初枝さんがいつまでも“さよなら~”と、手を振りながら見送ってくれた。浜口だけでなく、一家そろって下町の暖かい雰囲気に囲まれて元気そのもの。同行したカメラマンは熱血の浜口ワールドにすっかり酔いしれて、『浜口ジム』に入会しようか迷っているという。