「身長は165センチ、100キロくらいでデカくて、こちらが挨拶すると返してくれるけど会話はしない、とてもおとなしい青年。まさか、あの子がねぇ……」

 いつもの容疑者と事件との落差にそう驚くのは近所の住民。

 今年の1月中旬ころ、埼玉県さいたま市桜区の自宅から、

「仕事がイヤになった」

 と告げて家出していた樺沢勇人容疑者が、3月15日の午前10時ごろ、2か月ぶりに帰宅した。

 行方不明者届を警察に出していたため、母・知美さんは警察に連絡。

「息子が帰ってきました。届けを取り消してください」

 そんなやりとりをしている最中に、

「ギャー!」

 という悲鳴が響きわたった。

 すると、樺沢容疑者が電話口にそのまま出て、

母親を包丁で刺してしまいました」

 と告げたのだった─。

刑務所に入ろうと思った

 埼玉県警浦和西署員が急きょ駆けつけると、自宅には背中などを刺されて血まみれで倒れている母親と、その傍らで呆然と立ち尽くす息子の姿があった。

 樺沢容疑者は、殺人未遂の現行犯で逮捕されたが、母親は病院へ搬送後に死亡。容疑は殺人に切り替わった。

「何もかもイヤになってしまって、母親を殺して刑務所に入ろうと思った」

 などと供述しているというが、いったい何があったのだろうか─。