「最後の砦になってでも映画枠を守り抜く」

 今回の放送開始25周年記念では、往年の名作に加えて地上波初放送作品も目白押し、加えて関東地区では11年ぶりの放送ということでSNSでファンが大いに盛り上がっている『プレデター2』など、怒涛のラインナップが話題だが、これらはどのように決まったのだろう。

せっかくお祝いするなら派手にやりたいな、と。かつてのゴールデンタイムで放送されていた豪華な作品や新作を入れることで番組を盛り上げると同時に、コロナ禍で窮屈な生活を強いられるおうち時間を少しでも楽しんでほしいと思いラインナップしました。

 また、我々が気合いを入れていいラインナップにすることで改めて映画のよさを感じてもらい、『たまには劇場に映画を観に行ってみようかな』と冷え込んでいる映画産業も盛り上がれば幸いです。SNSでの盛り上がりや要望についても、いつもスタッフのみんなでチェックしていますし、その想いは参考にさせていただいていますよ」

 映画業界では近年、動画配信サービスが主流で、テレビでの放映は追いやられている印象がある。こうした現状について岡本氏はこう語る。

「テレビで映画を流す意義は3つあると考えています。1つめは余計な労力を使わずに“タダ”で楽しい映像体験ができる点。現在主流の動画配信サービスでは能動的に視聴する作品を選ぶ必要があり、それが意外と疲れるという方もいると思うんですよ。

 2つめはテレビ局が作った吹替え版が楽しめるという点。昔は同じ作品でも各局でそれぞれ特色を出そうと独自の声優を使って、吹替版を作るというクオリティ合戦がありましたし、そうした文化の残り香を楽しんでもらえると嬉しいですね。

 3つめは“ながら視聴”のしやすさという点。動画配信サービスは場合によっては作品ごとに料金がかかりますので、真剣に視聴しようとなるでしょう。しかし、地上波映画はお金がかからないうえ吹替え版を放送していますから、目か耳のどちらかの意識を向けていれば別の作業をしながらでもストーリーについていけるのがメリットだと思います」

 同番組は予告CMで“地上波映画枠 最後の砦”というフレーズを使っていたことも記憶にあるが、このフレーズにかけた想いとはなんなのだろう?

「最後の砦になってでも映画枠を守り抜くという決意と覚悟です。先日、日本テレビさんの『映画天国』のレギュラー放送が終了するというニュースを聞いて、テレビで映画をレギュラー放送している番組の数がどんどん減ってきてしまっている現状に悲しみを覚えました。

 だからこそ、今後も可能な限り新作や視聴率もいい邦画作品を織り交ぜながら、ギネスブックに載るような長寿番組を目指します

 最後に、ファンや読者に向けて岡本氏はこう話す。

25年間もの長い間続けてこられたのは、ファンのみなさまが『午後のロードショー』を大事にしてくださったからです。本当に感謝していますし、心よりお礼を申し上げます。

 そして同番組をあまり視聴されない方に伝えたいのは、普段は痛快アクション系のラインナップが多いですが、良質のサスペンスや祝日の邦画ですとか、心温まるような作品もありますので、まずは一度ご覧になってみていただきたいということですね。また番組も50周年を迎えられるよう、スタッフ一同頑張っていくつもりです」

 どうか末長く映画の素晴らしさを届け続けてほしい。

(文=TND幽介〈A4studio〉)