生きてるな! と感じるインタビュー

 記事の中で、読者に最も読まれているのが著名人へのインタビューだ。聞き手は、不登校・ひきこもりの当事者や経験者が集まった「子ども・若者編集部」が務める。

 これまでに多くの著名人にインタビューを行ってきた同紙だが、その顔ぶれにまず驚かされる。

 樹木希林、西原理恵子、横尾忠則、羽生善治、萩尾望都、内田樹、茂木健一郎、りゅうちぇる、立川志の輔、谷川俊太郎、大槻ケンヂ、庵野秀明……。錚々たる面々だ。

 石井さんも16歳のとき、子ども・若者編集部の一員として、インタビューを初めて経験した。

石井志昂さん 撮影/伊藤和幸
【写真】ボツになった企画の「お墓」

「私自身が不登校で、どうやって生きていっていいかわからなかった。学校に行ける気もしないし、ちゃんと働ける気もしない。そもそも“大人って楽しくなさそう”という思いがあったんです。

 唯一興味があったのは、自分がファンだった糸井重里さんや、みうらじゅんさん。彼らに“あなたみたいにはどうやったらなれるのか?”ということを聞いてみたかったんです」

 思想家の吉本隆明さんにインタビューをしたときは、石井さんはまだ19歳だった。

「吉本さんのことは、雑誌のコラムで読んだことがあったくらいであんまりよく知らなかった(笑)。取材を申し込んでOKをもらえたので、編集部に伝えたら、代表から“石井くん、どういう意味かわかっているの?”と言われました。

 10代の子たちと何人かで取材に行ったんだけど、吉本さんの話を聞きながら寝ちゃう子もいたりして大変でした。でも、そのとき寝ちゃった子はのちに、信濃毎日新聞の記者になったんですけどね(笑)」

 数多くの著名人を前にして石井さんは、感銘を受けたと話す。

「インタビューをしていて、生きてるな! という感じがしたんですね。その現場に行ったときに、学校とはまるで違う、(人生の)本番というか……。よく“人間には居場所と出番が必要”というけれど、フリースクールが居場所なら、これが出番なんだと思った。

 頭の先から爪先までビンビンに緊張した状態で聞きに行くんですけど、みなさん、温かく迎え入れてくれて。いろんな生き方があるよ、と教えてくれました」

 例えば、コピーライターの糸井重里さんは「せっかく不登校するんだったら楽しめばいいよ」と言ってくれた。シンプルな言葉だが、石井さんは身体の中に入ってくるのを感じたという。

「ああ、こういう瞬間に出会えるのは本当にいい仕事だな、と。それで私は記者になったんです。ほかの人にも知ってほしいと思って、不登校の子に、一緒にボランティア記者として取材に来てもらったりするようになりました」