知っておきたい意味の違い【社会編】その2

●「法律」と「条例」

 渋井さんによれば、

「法律とは国がつくった国全体へ及ぶルールのことで、法律をつくれるのは唯一、国会だけです。それに対して条例とは、都道府県や市区町村などの各地方自治体がつくり、その地方にだけ定められているルールです」

 例えば昨年10月、東京都荒川区で“歩きスマホ”や“ながらスマホ”を取り締まる条例が可決されたけれど、

「荒川区内でしか通用しない条令なので、隣接する北区や足立区などは対象外。荒川区の外へ1歩出れば、取り締まることはできません」と、渋井さん。

 法律と条令には、もうひとつ大きな違いがある。それは罰則の重さ。法律には死刑や無期懲役などの重い刑罰がある一方、条例で科される罰則は最高でも2年以下の懲役、もしくは禁錮、100万円以下の罰金といったところ。

●「不貞」と「不倫」と「浮気」

 福原愛に有村昆、コブクロ黒田……等々、有名人の不倫疑惑が後を絶たない。浮気や不貞とも呼ばれているけれど、実はこの中に1つだけ法律用語があるって、知ってた?

不貞がそうです。民法第770条に離婚事由として規定されています。基本的に婚姻関係を持つ男女の間で使う言葉で、配偶者以外と性行為をした、あるいはしたとみなされたら、不貞となります

 と、渋井さん。一方、不倫は性行為の有無は問わない。

「“交際していた”という関係性に対して使う言葉です。例えば、高額なプレゼントを贈ったり、デートを重ねたりするだけなら不倫です」

 また、浮気にも法律上の定義はない。

ただ一般的に、結婚しているかどうかに関係なく、カップルのどちらかがほかの相手と性交渉をしたりデートを重ねたりすると、浮気とみなされるでしょうね。どこからが浮気でそうでないのか、その線引きは2人で決めるべき

教えてくれたのは……渋井哲也さん
ジャーナリスト。栃木県出身。長野日報社を経てフリーに。自殺やいじめ、虐待、援助交際など、若者の生きづらさをめぐる問題を中心に執筆。新著に『学校が子どもを殺すとき』(論創社)がある

教えてくれたのは……はんつ遠藤さん
フードジャーナリスト。東京都出身。海外旅行情報誌のライターを経て現職。雑誌や書籍での執筆活動のほか、飲食店のプロデュース活動も行っている。『東京 やきとり革命!』ほか著書多数

教えてくれたのは……植田美津恵さん
医学博士・医学ジャーナリスト。愛知医科大学客員教授、厚生労働省研究班委員・経済産業省委員会座長などを歴任。東京通信大学で教壇に立つ傍ら医学番組監修、コメンテーター、講演でも活躍

〈取材・文/高橋ももこ〉