【66歳】先進医療を選択すれば費用はなんと300万円

 日本医療政策機構のアンケート調査によると、がん治療にかかる費用は保険適用なしで年間平均115万円。

「実際は高額療養費制度という公的補助もあるので、費用はだいぶ抑えることができます。ただし、標準治療ではなく、先進医療を希望するなら話は別です

 先進医療は保険適用外なので高額療養費制度が適用されず、重粒子線と陽子線治療であれば年間約300万円かかり、すべて自己負担となる。

「とはいえ、先進治療をすれば必ず治るというわけでもありません。病気になったとき、あらゆる可能性に賭けてみたいと考えるなら、健康なうちにがん保険に加入を。“先進医療特約”や、がんの診断で一時金が300万円くらい給付されるものを検討しておくといいでしょう

 また、がんの発症タイプは年代ごとに変化している。

「昔は肺がんと胃がんが多数でしたが、今は胃がん、乳がん、前立腺がんの順。特に女性は12人に1人が乳がんと診断されています」

 乳がんは欧米病とも言われ、食事で乳製品を多くとる人は気をつけたいところ。

「がん細胞は誰もが持っていて、免疫力が低下すると“がん”になる。喫煙、過度な飲酒、肥満、ストレスなど生活習慣に気をつけ、定期的に検査を受けるのも大切です」

●横手'sアドバイス『早期発見できれば標準治療で十分!』
 がん対策で何より重要なのは、検診を毎年受けて、早期発見、早期治療をすること。早期発見できれば、9割が治るといわれているのに、日本のがん検診受診率は、先進国の中でも最低水準です。早期発見できれば、先進医療を考える必要性も減り、莫大な治療費に悩まされることもない。繰り返しますが、治すコストよりも予防するコストのほうがずっと安いし効果もあります。検査と生活習慣が、何よりのキーワードです!

【70歳】後期高齢者になる前に資産の棚卸しを

 金融広報中央委員会の調査によると、70歳の平均貯蓄額は1314万円(2人世帯以上)。けれどもこれは富裕層も含めた平均値。

「富裕層など、極端な数字の影響を受けにくい値である中央値を見ると460万円。その額しか貯蓄がない人が多いというのが現状です」

 この金額は、現金預金だけでなく有価証券や保険も含むので、実際に使えるお金はもっと少ない人がほとんど。

 また総務省「2019年家計調査報告(家計収支編)」によれば、高齢夫婦無職世帯の可処分所得は約21万円。一方、支出は約24万円で、普通に生活するだけでも月3万円、年間で平均36万円の赤字となる。資産が460万円あったとしても、およそ12年程度で資金ショートに!

「たとえ70歳時点で1000万円の現金があったとしても、病気や介護が必要になれば、月の赤字が10万円以上になることも珍しくない。そうなると10年もたないのです」

 生活費が予算オーバーしていないか、含み損を抱えた投資信託を見るのが怖くなっていないか……しっかりと家計を振り返ろう。

「70歳を過ぎるころから医療費や介護費が一気に押し寄せてきます。その前に、今ある資産をすべて棚卸しし、換金できるものがあれば現金にかえて。現状をしっかりと把握しておくことが肝心です」

●横手'sアドバイス『健康&労働で老後破産を回避!』
 ほとんどの70歳が資金不足。自宅を売ればいいと考えている人も多いが東京以外は買い手がつかず、希望価格に満たないことが多いそう。おすすめはアルバイトです。時給が1000円だとすると、毎日5時間×20日間で月10万円の収入を得ることができます。健康に気をつけ、無理のない範囲で働き続ければ資金プランはかなりよくなります。適度な労働は運動不足の解消や認知症予防にもなり、一石二鳥です。

※画像はイメージです
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