「最近、患者さんから“黒柳徹子さんがCMでやってた、ジェネリックという薬を処方してください”という声が増えています」

 とは兵庫県尼崎市の長尾クリニック院長の長尾和宏先生。

 実際に「ジェネリック」という名前の薬があると勘違いしている患者さんもいるようだ。著名人によるCMの影響もあり、ジェネリック医薬品を選ぶ人は多い。

 一方で、今年の2月、3月にはジェネリック医薬品メーカーが製造不正により業務停止命令を受ける事件が相次いで発生した。昨年12月には、爪水虫のジェネリック治療薬に睡眠導入薬が混入し、全国で240名余りに健康被害が出る事件も起こっている。

「ジェネリック」という言葉を耳にする機会はこの10年で一気に増えたが、なんとなく“安い”というイメージだけでジェネリック医薬品を“選ばされている”と感じている人もいるのではないだろうか。

 そもそもジェネリック医薬品は本当に安いのだろうか。また、効果があるのか、安全なのか……薬局で薬剤師に「ジェネリックにしますか?」と質問されたとき、きちんと判断するための知識を長尾先生に教えてもらった。

医師自身はジェネリックを選ばない

 そもそも、ジェネリック医薬品とはどんな薬なのか。

新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を含む医薬品の総称がジェネリック医薬品(後発医薬品)です。新薬の特許が切れたあとにゾロゾロとたくさんの種類が発売されるので、昔は医師の間では“ゾロ”などと呼ばれていました。医療費負担の軽減につながるため、国は積極的にジェネリックの導入を推奨しているのが現状です」(長尾先生、以下同)

新薬ひとつに対して、各メーカーからゾロゾロ出てくるジェネリック医薬品。成分の容量の違いを含めると、かなりの数のジェネリック医薬品が出てくることも

 新薬の研究開発には莫大な時間とコスト、労力がかかる。体力のある大手メーカー以外が参入することはなかなか難しく、開発費の回収のために新薬はあらかじめ薬価(薬の公定価格)が高く設定されていることが多い。

 一方で、新薬の特許が切れたあとに、公開された製造情報をもとに各メーカーがつくる薬がジェネリック医薬品だ。イチから研究開発をするわけではないため、製薬コストを抑えることができ、そのぶん薬価も安く設定できる。新薬と同じ成分や効き目で値段も安いというのなら、ジェネリック医薬品を使わない手はないと思ってしまうが……。

「ただ、医師が自分で高血圧などの薬を飲むときに、ジェネリックを選ぶ人はあまり多くないでしょうね。新薬に対する規制はかなり厳しく、品質管理もしっかりされています。長年使われてきた実績があったり、大手メーカーの製品が多かったりという点でも安心感があるのでしょう」