ダバディ氏は「恥ずかしい」と憤り…

 このような“日本人”によるフォローもあったが、日本人としてフランス語を学んだ辻やひろゆきより、はるかにフランス語そしてフランス文化に詳しい“ネイティブ”からの意見もあった。'02年の日韓ワールドカップでトルシエ監督の通訳を務め、その後も日本での活動が目立つフランス人ジャーナリストのフローラン・ダバディ氏だ。彼はツイッターにて次のように答えている。

《私も子供の時にずっとデンベレ選手出身のパリ郊外でサッカーをしてきた。貧しい階級の子供たち(フランス系であろうが、アフリカ系であろうが)はありえない用語でお互いを差別し、それが面白いと信じています。情けないのは親の教育です》(原文ママ、以下同)

《多民族国家の問題でもありますが、同じ町、同じマンションで共存生活を送っているだけに、もう人種差別はないと暗黙に彼らが考えます。とはいえ、彼らのスラング用語の中で人種に言及した言葉が多いのです。いずれも、恥ずかしいです》

フローラン・ダバディ氏(本人のインスタグラムより)
フローラン・ダバディ氏(本人のインスタグラムより)
【写真】流出したデンベレ選手とグリーズマン選手の“差別発言”動画

 フランス人が「親の教育が情けない」「恥ずかしい」と憤り、日本人が「普通に使われる言葉」「そこまでひどい意味じゃない」と肩を持つ……。

 当の2選手は共にSNSで、謝罪(?)を行っている。

《最近、インターネットで2019年のプライベートな映像が出回っている。このシーンはたまたま日本での出来事だった。地球上のどこで行なわれていてもおかしくないし、僕は同じ表現を使っただろう。これはどこかのコミュニティをターゲットにしたわけではなく、このような表現は、プライベートでも友人の間では、その出身地にかかわらず使うことがある。

ただ、このビデオは公開されており、この映像に映っている人々を不快にさせる可能性がある。だから、彼らに心からの謝罪を捧げる》(デンベレのインスラグラムのストーリーズより)

《僕はあらゆる形の差別に反対する立場を約束してきた。ここ数日間で、その意思を無視し、僕をそうではない男としようとする人たちがいる。僕に対する非難に対しては断固として反論するとともに、日本人の友人たちを傷つけてしまったのなら謝罪したい》(グリーズマンのツイッターより)

 2人の謝罪についても、ダバディ氏はツイッターでこのようにコメント。

《お二人は「人種差別じゃない、私たちは普段から使ってるスラングだよ。どの人種に対してもさ」と言い訳をするのですが、アメリカだったらこれは全く通じないのです。彼らは間違っている。しっかりと謝って欲しかったです》