周知のとおり、川嶋さんは学習院大学の名誉教授。研究者らしいユーモラスな返答が光りつつも、一般的な金銭感覚にどこか親しみを覚える。

「和歌」に託されたお気持ち

 20代の記者に対し、懇切丁寧な対応を続ける川嶋さんは、「これだけでお別れのご挨拶というのは寂しゅうございますので」と、自身の趣味について語りだした。

一般の結納にあたる『納采の儀』後の挨拶を終え、皇居を後にされる紀子さまとご両親('90年1月)
一般の結納にあたる『納采の儀』後の挨拶を終え、皇居を後にされる紀子さまとご両親('90年1月)
【写真】眞子さまが運動会で披露された大ジャンプに周囲もびっくり

「今はできませんが、少年のころは木登りが大好きだったんです。今でも登りたいと思いながら夢を描いております。枝ぶり次第で、手の位置よりも足の位置が高くなる。そんなことを思うだけでも、僕自身が木登りをしているような楽しみに浸れます」

 童心に帰ったかのような声で楽しそうに話し進める。

「少し間違えてかなりの高さから落ちても、幸いにして、下に鋭利な石などがあることもなく、多少の痛さですむような墜落でした。それも含めて懐かしい思い出です」

 盛り上がること30分。川嶋さんから予想外の提案が。

「取材ではないお手紙であれば、封を開けられます。木登りについての和歌を書いてくだされば、よろこんでご連絡申し上げたいと思います。どういう景色が好きで、その景色について“こんな和歌を詠んだ”“こんな景色が見たい”でもよろしいです」

 思いを伝える手段は和歌─。それが紀子さまを育てられた“川嶋家流”なのかもしれない。

《竹籠に熟るる黄色の花梨の実 あまき香りは身に沁みとほる》

 今年3月の『歌会始の儀』に出席された紀子さまが披露されたのが、この和歌。

「竹籠の中の熟れたカリンの実について詠まれていますが、カリンの花言葉は“唯一の恋”“努力”“可能性”。実をつけるのは10月から11月にかけてです。

 これは偶然とは思えません。紀子さまは《竹籠》を皇室に、《花梨》を眞子さまにたとえられたのでは。唯一の恋を叶えるべく、努力される姿を見た紀子さまは、カリンが実をつける今秋、娘の意思を尊重して結婚を認める……。そんなお気持ちを和歌に託されていたのかもしれません」(皇室ジャーナリスト)

 もうすぐ、カリンが熟れる季節がやってくる─。