缶詰は見た目以上に“優れもの”

【Q】かに缶の中に入っている白い紙ってなんのため?

【A】かにの成分と缶が反応して黒い斑点ができるのを防ぐため。

 かにの缶詰を開けると、かにの身が白っぽい紙で包まれているがどうしてだろうか。公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会の藤崎享さんに話を聞いた。

「かに缶の中の白い紙は、かにの身と缶が接触しないようにするためです。かにの身は硫黄分を多く含むので、直接触れると缶の鉄分と反応して、ごまのような黒い点ができてしまいます。衛生上は問題ありませんが、白い身に黒い斑点が付着していると見た目が悪くなります。缶の内側は合成樹脂などで塗装されていますが、そういった反応を確実に防ぐため、さらに紙で包んでいます」

 現在では、鉄ではなくアルミでできた缶詰もあり、また缶内部の塗装技術も向上したため、実は白い紙がなくても問題ないという。ただ、中身が白い紙で包まれているほうが高級感があるため、わざと昔のまま残しているのだ。

 また、紙があると中身を紙ごとまとめて取り出すことができ、かにの身が崩れないという利点もある。

 ちなみに、缶詰の賞味期間は製造後約3年間だが、なぜ缶詰は長期保存が可能なのか。

「缶詰は具材と調味料などを入れて密封し、加圧加熱殺菌します。この過程で缶の中の微生物は死滅するため、保存料や殺菌料を使わずとも、腐敗や食中毒を起こすことがありません。また、空気を抜いた真空状態で加熱をするので、食材のうまみや栄養も失われにくい。缶詰は、見た目以上に“優れもの”なのです」(藤崎さん)