8月5日、「東京都発熱相談センター」で紹介された病院でのレントゲン写真。まだ肺はキレイだった(写真:取材者提供/東洋経済オンライン)
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「8月7日にPCR検査を受けたのですが、結果待ちの間、38.8度に上がっていました。解熱剤を飲みましたが、切れるとすぐに39度前後になって……。また、寝るたびに今まで経験したことのないような大量の汗をかきました。全身が水をかけたようにビシャビシャになって身体の水分がどんどん抜けていき、恐ろしいと感じました」

 発熱は続き、毎日解熱剤を規定量まで飲みながら、ベッドに横になるだけの日々。たった30分の仮眠でも滝のような汗をかく。コロナは案の定、陽性だった。

 8月11日にホテルの宿泊療養所に行くことになった。しかし前日の晩からすでにフラフラし、立つのがやっとだった。

血中酸素飽和度「72%」でも息苦しさなし

「宿泊療養施設のホテルに着いてすぐ、パルスオキシメータ(血中酸素飽和度を測る機械)で酸素量を測りました。そのとき、『72』という恐ろしい数値が出て。ホテル療養では危険ということで、急遽入院先の病院を探すことになりました。たまたまとある病院のベッドに一つ空きが出たということで、入れたのですが……。もし空きベッドがなく、宿泊療養所に戻っていたとしたら、完全にアウトでした」

 肺から取り込んだ酸素は赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれる。血中酸素飽和度とは、心臓から全身に血液を送り出す動脈の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているかの値で、パルスオキシメータで計れる。

 約96~99%が正常値で、93%以下になると酸素投与が必要となる。90%を下回ると「呼吸不全」と呼ばれ、その状態が継続すると心臓や脳などに障害を起こすことがある。瀬川さんの数値「72%」は、その「90%」をはるかに下回る、きわめて危険な状況だった。

「でも実際、不思議なことに72%を示していても息苦しさをあまり感じなかったんです。だから、そんな深刻な状況とは思いませんでした。後から医師に聞いたのですが、このときの僕はコロナ患者によくみられる『ハッピー・ハイポキシア(Happy Hypoxia)』=『幸せな低酸素症』だったようです」

 ハッピー・ハイポキシアとは、コロナ患者の肺炎が進み、酸素の状態が悪化しても「息苦しさを感じない」状態をいう。自分で気づかないうちに重症化する場合も多く、多くの医師も警鐘を鳴らしている症状だった。